CS放送でちょっとタイトルが気になり、何が起こるのか全く予測不能の導入部を見せられ、結局最後まで観てしまうことに。
なんと初老の掃除婦と年の離れたアラブの移民労働者との恋物語でした。
恋愛モノはほとんど観ないんですが、冒頭からの謎の吸引力に抗えず・・・
監督はライナー・ベルナー・ファスビンダー。
タイトルはモロッコの諺(?)として劇中に登場します。
ファスビンダーと言えば、私の学生時代にニュー・ジャーマン・シネマという触れ込みで次々と公開されたドイツ映画の監督たちの一人。
公開当時『マリア・ブラウンの結婚』や『リリー・マルレーン』は話題となってましたから、私も観たような観なかったような・・・
同時期にヴェルナー・ヘルツォークの『ノスフェラトゥ』『フィッツカラルド』、フォルカー・シュレンドルフの『ブリキの太鼓』、ヴィム・ヴェンダースの『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』なんかも観ましたが、どうもファスビンダーの作品が一番記憶が希薄。
舞台はミュンヘン、70年代のドイツにも根強く人種差別は存在したようです。
主人公のドイツ女性はアラブ人とつきあっているというだけでご近所や仕事仲間、さらに自分の子供たちからもハブられます。
しかもみんな自分の境遇が変わるとあきれるほどの手の平返し。
しかし本作、それよりも一番印象に残ったのは、どんな環境だろうと夫婦には似たような試練があるということでしょうか。
アキ・カウリスマキ監督が多大な影響を受けているらしく、なるほど似た絵面のシーンが。
エンド・クレジットでファスビンダー監督本人の顔写真らしきものが出ましたが、なんと劇中で主人公の長女の素行の悪い旦那を演じてた人でした。
当時まだ29歳の若さで当時64歳の女優が主人公の映画を撮るとは驚き。
主人公のブリギッテ・ミラは本作でドイツ映画賞主演女優賞を受賞。
ジャケ写の場所は戦時中にヒトラーが通っていたイタリアンレストランだそうです。