「ケレル」でその俳優の名前を知った。ファスビンダーの当時の恋人エル・ヘディ・ベン・サレムが主演する長らく未公開だった作品。
60代の未亡人エミ(彼女の台詞で亡き夫が戦中ドイツに出稼ぎしていたポーランド人と分かる)が仕事帰りに雨宿りしたアラブ系バーで知り合った20歳以上も年下のモロッコ系移民自動車工に惚れて結婚。偏見が当たり前の時代に突き進む彼女の行動を笑ったり蔑んだり、今でもそんな反応の方が多かろう。
エミの年齢に近い自分には周りの偏見すらひっくり返してしまうその行動力は憧れすら感じる。
これまで見たファスビンダー映画の中では生活は大変だろうけど、前向きに生きることが出来るヒロインだ。