LEONkei

イン・ディス・ワールドのLEONkeiのレビュー・感想・評価

イン・ディス・ワールド(2002年製作の映画)
3.5
祈りを続ければ、世界の仕組みは変わるのか…。

ドキュメントよりドキュメントらしいリアルで生々しい過酷なロードムービー。

アフガニスタンへソ連侵攻により逃れ、パキスタン北西国境地帯にある難民キャンプで暮らす少年〝ジャマール〟は希望を求め6400km先のロンドンへ過酷な道のりを歩むことを決意する。

どんなに多くの言葉を並べ表現力を駆使しても、少年の過酷な旅は表現しきれないほど過酷で困難な道のり。

難民が故に違法な手段で密に移動しなくてはならず、徒歩やトラックの荷台やバスなど中東各国を巡りに巡る。

中東とひとことで言ってもパキスタン〜イラン〜トルコなど、行く先々で言葉も違えば宗教・文化・人種も違うのだ。

パキスタンの難民キャンプで暮らしても、何十年も改善されることはなく貧しさと絶望しかない人生…逃れたい気持ちは皆同じでも、そこから逃れるには更に過酷。

あまりにもリアルな描き方は現実なのか映画なのか不思議な錯覚すら感じるが、少年〝ジャマール〟は本当に難民キャンプ出身者なのだ。

この映画を観て、むしろ欧米人がその少年をカメラごしに撮影している事に違和感を感じてしまう。
難民キャンプを生み出したのは誰なのか。

イスラムの教えに忠実に祈り続ける少年の姿は、いったい何を祈っているのだろうか…

それを思えば思うほど非現実的な祈りと相反し、現実的なリアルな描写が問題の根本を考えさせられる作品ではないか..★,
LEONkei

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