イン・ディス・ワールドの作品情報・感想・評価

イン・ディス・ワールド2002年製作の映画)

IN THIS WORLD

製作国:

上映時間:89分

ジャンル:

3.7

「イン・ディス・ワールド」に投稿された感想・評価

迷子になったり振り回されたりしながらパキスタンからロンドンへ亡命を測るロードムービー

道中でトラブルが起きたり、言語が全く通じなかったり、そんな時に限って寄ってくる変な連中だったりとバックパッカーならば一度は経験する試練が詰め込まれている

普段いかに安全に旅ができているのか改めて実感させられた
ベルリン国際映画祭金熊賞作品の称号に恥じない力作でした。
本物の難民の若者と少年を出演させて、パキスタンからロンドンへの亡命の一部始終をドキュメントタッチで見せてくれます。ハンドカメラを使用していることもあり、臨場感は抜群です。それ故にいつ当局に捕まるか分からない緊張感と恐怖感も並みではありません。
自分の祖国に希望を見出だせずにロンドンに新境地を求める姿は、とても悲しく感じました。本作では子供たちがたくさん映し出されてましたが、アメリカの爆撃で命を落とした子供のことを考えると痛ましい気持ちになりました。
ロンドンへの道にはいくつもの困難が待ってました。偽造パスポートや闇ルートでの国境越えなど、バレないように息を潜める。信用できそうにない大人たちに亡命費用を託して誘導される。その不安は計り知れないほど大きかったことでしょう。
私は映画は娯楽であると思ってますが、世界の出来事を知る一つの媒体の役割も果たしてます。だから難民キャンプでの真実を知ることができる本作もその価値があるはずです。だか、「イン・ディス・ワールド」というタイトルはピッタリだと思いました。
大晦日の夜に 有楽町で鑑賞しました。
とても胸に突き刺さり、考えさせられる映画でした。

特別な気持ちでお正月を迎えられましたよ。大切な映画です。
LEONkei

LEONkeiの感想・評価

3.5
祈りを続ければ、世界の仕組みは変わるのか…。

ドキュメントよりドキュメントらしいリアルで生々しい過酷なロードムービー。

アフガニスタンへソ連侵攻により逃れ、パキスタン北西国境地帯にある難民キャンプで暮らす少年〝ジャマール〟は希望を求め6400km先のロンドンへ過酷な道のりを歩むことを決意する。

どんなに多くの言葉を並べ表現力を駆使しても、少年の過酷な旅は表現しきれないほど過酷で困難な道のり。

難民が故に違法な手段で密に移動しなくてはならず、徒歩やトラックの荷台やバスなど中東各国を巡りに巡る。

中東とひとことで言ってもパキスタン〜イラン〜トルコなど、行く先々で言葉も違えば宗教・文化・人種も違うのだ。

パキスタンの難民キャンプで暮らしても、何十年も改善されることはなく貧しさと絶望しかない人生…逃れたい気持ちは皆同じでも、そこから逃れるには更に過酷。

あまりにもリアルな描き方は現実なのか映画なのか不思議な錯覚すら感じるが、少年〝ジャマール〟は本当に難民キャンプ出身者なのだ。

この映画を観て、むしろ欧米人がその少年をカメラごしに撮影している事に違和感を感じてしまう。
難民キャンプを生み出したのは誰なのか。

イスラムの教えに忠実に祈り続ける少年の姿は、いったい何を祈っているのだろうか…

それを思えば思うほど非現実的な祈りと相反し、現実的なリアルな描写が問題の根本を考えさせられる作品ではないか..★,
目を背けてはいけない現実なのだと自覚すると、移民関連のニュースに敏感になります。
Sanae

Sanaeの感想・評価

3.5
パキンスタンの難民の少年の話。本人が演じているとのこと。作品の内容がどうのこうのというより、これが現実なんだな…が残る。
2011/6/23


パキスタンの難民キャンプで育った若者2人がロンドンに亡命する旅のお話なんだけど、ドキュメントタッチな映像だし、旅先でわからない国の言葉だと字幕が出ない(彼らが理解できる言語しか字幕が出ない)し、彼らと共に旅をしているような気分になった。

それが普通の旅ならいいのだけど、不法入国を重ねる旅だから命懸け。
行く先々でいろんな人に助けられるのだけど、助けてくれる人さえ信用できない。
トラックの荷台に乗せられてどこに連れて行かれるのかもわからない。
身分証がなくて国境に戻される。
夜の雪山での銃撃。

本当に自分が逃亡してる錯覚に陥って息を飲む。

それでも難民キャンプの外の世界はどこでも彼らの目にキラキラして映っていた。
雪のかかった山、砂漠、小さな村の子供達…今まで見たことのない物を目にして、感じて、過酷な旅ながらも未来にわくわくしていたんだろうなっていうのがすごく伝わってきた。

ロンドンの礼拝所で祈りを捧げるラストシーン~エンディングがもう素晴らしい。

こんな世界だけれど、世界はこんなにも美しいんだなとも同時に思った。
ENDO

ENDOの感想・評価

3.8
アフガンからロンドンへ。各国にいる密入国請負人にすべての運命が握られているため否が応でも、それに耐えるしかない理不尽さ。そしてこの虚構の物語自体が、主演の少年のイギリス滞在を限定的に認めた事で、彼の人生を変えてしまった事実こそがこの映画の枠を超えた面白いところに他ならない。
mykn

myknの感想・評価

3.5
アフガン→パキスタン→トルコ→ヨーロッパ→ロンドン、、
難民の密入国の物語かな。ストーリーは淡々と過ぎていく。

そもそもロシアとアメリカがアフガニスタンを占領しようとしなければこんな難民が溢れることは無かったのに、、と思って悲しくなった。

ただただエロかった「9ソングス」と同じ監督さんだけど、考えさせられるドキュメンタリーの映画。

主人公のジャマールはまだ14〜16歳くらいの少年なのに、逃げて逃げてたまにスリもして、白人たちに白い目を向けられて、自分は日本人に産まれて良かったと思う反面、こんな事ではいけない、と可哀想で仕方がなかった。

国同士に争いがなければ。占領しようとしなければ。誰もが幸せに暮らせたはず。こんな不公平ではいけない。イスラム国の悪いイメージはこういうある国の勝手な支配によって生まれてきているのかもしれない。

世界でテロがあちこちで起きていることも、元をたどれば国が国への余計な介入で起きた事なのか、日本でも難民が増えて治安は悪くなるし追い払いたく思う時もあったけれど、いつ見つかって追放されるかもしれない恐怖を味わっている難民にはどうしてもああいう無鉄砲なのかもしれない、スリもしなくては生きていけない。助けてあげなければ。こんな不公平はいけない、と思い知らされた。
去年だったか、一歳ぐらいの難民の子どもの死体が漂流されて浜辺に打ち上げられていたニュースも辛い。
2002年の映画なのに、15年以上もたってまだまだこの問題は一向に減ることもないんだな、むしろ増えてるんだな、と。
子を持つ親としては、こんなニュースは観ていられないね。

ジャマール、自然な演技でうまかった。インドや中東の子どもって、素人で見つけた子でも、本当に演技が上手いな、と思う。

牛のシーンは辛かった🐂
ウィンターボトム監督はこの時も?いつも多作のイメージがあって、矢継ぎ早にたくさんの映画を撮っている気がする。製作期間の早い短いがいかに内容と関係ないことか。必見。