続編に向けて予習。名場面すぎるシーンのせいで見た気になってたやつ。リドスコ御大の言葉に従い、"ディレクターズカット"の劇場版を鑑賞。
これより前に作品賞を受賞したメル・ギブソンの「ブレイブハート」と同様なパワフルな熱量を持ったハリウッド歴史劇。下剋上物語の王道な作りでありながらも、とにかく面白い。ローマ時代のビジュアルの凄まじさ、小道具の魅力がカッコよく、庶民の視点を捉えたストレートな物語がアツくさせる。剣闘の競技性が高く、スポーツ映画としても見られるのも盛り上がる要因。
コロセウムが国家のメタファーとなっており、どんなに権力を持っていても民衆をコントロールできる人には敵わないという姿が最高。独裁者から民主主義を取り戻すという革命的な物語を民衆を描かずに、剣闘士の物語からブレず一人の人物を通して描ききったのは面白い。少なからずタイトに纏めるための凝縮と取捨選択が上手。
コモドゥスを演じたホアキン・フェニックスがまんまジョーカーで良かった。皇帝の家系に生まれて重責を負う辛さも感じさせるし、親に愛されていない哀しみも分かるが、人格が終わっていて無能感が半端じゃない。誰にも愛されてないから、姉上に愛を求めている姿があまりにも惨めで可哀想。先代がもっと愛してやればこんなにはならなかった。
マキシマスがいることで国を背負う力量が無いことが明瞭になっていて、そこも悲しい。人徳も才能も力量もないのに、勝手に背負わされて、どんどん狂わされていったところがアーサーフレック。庶民として生まれたらただの性格の悪い男ってだけだったのに。
劇伴がハンス・ジマーなだけに、パイレーツ・オブ・カリビアン色が強い。