続編やってるとの情報にそそのかされて超ご無沙汰の見直しだったが、改めて今観ると、メーター振り切りまくっててすごい。これぞマスキュリニティ、である。リドリー・スコットの数多くある代表作のひとつ、および文句無しのアカデミー作品賞。公開の2000年は『GIジェーン』の後で『ハンニバル』の前、今思えばまさにリドスコ無双時代だった。その時ワシこれ、WOWOWで観たの。小6。こんなに血みどろブシャーだったことを改めて知って、当時の自分を今更いたわりたくなる。
悲惨すぎる境遇も相まって絶対に肩入れしてしまう主演男優賞、ラッセル・クロウの全盛期を再確認。と同時に、初めて観た時は「このドラ息子」ぐらいの感想しかなかったのちの主演男優賞ジョーカーも、すでにめちゃめちゃ秀でていたということ改めて思い知らされる。さらに、記憶の片隅にもなかったガキ役はのちのポール・メスカルにこれまた絶妙に似ておる。
観衆と一緒に拳を突き上げ「殺せ!殺せ!」と興奮することなかれ、無益な殺生に対して「何が楽しい!」と憤るラッセル・クロウと共に、一歩引いた冷ややかな視点を保てる人間でありたいものである。しかしこれがかつて世界遺産コロッセオで平然と行われていた"娯楽"だなんて。