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アングスト/不安のryoのレビュー・感想・評価

アングスト/不安(1983年製作の映画)
4.2
反社会性パーソナリティ障害の主人公が人を殺したいという欲望のために、ひたすら殺せそうな人間を求めて彷徨う。無差別だろうと、逮捕されずに殺人を実行したいと思うと難易度は高く、さらに彼は痩躯で非力。
そんな男が必死で自らの欲望のために殺人を行う様を、過去のモノローグと共にカメラは淡々と追いかける。
動機の無い、意味の無い殺人を描き続ける本作に「意味が無いという意味」を感じた。
動機が無い殺人は狂気と呼ばれるが、それでも狂気に堕ちた人もまた、人だ。
自分には、(享楽のために)全力で七転八倒しながら意味の無い殺人を繰り返す主人公に、狂人として生きる以外に道などない人間のドラマを感じた。(当然、そこに感傷も共感もない。善悪の話ですらない)

何かしら特定のジャンルだと思って観るタイプの映画ではないかもしれない。
個人的には非常に面白いと思っている作品だが人には勧めないです…。
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