千頭利地蔵

アングスト/不安の千頭利地蔵のレビュー・感想・評価

アングスト/不安(1983年製作の映画)
4.1
この映画における恐怖の構造というのは、おそらく「理解できない」という感情と「理解できてしまう」という感情、どちらに傾いてもそれが恐怖に繋がるようにできていることにあるだろう。 

被害者は恐怖を伝染させるような運動を見せないし、カメラはむしろ常に殺人者の不安や情動に寄り添い、その行動原理が主観によって語られていく。
これは基本的に恐怖の対象を説明しない、いわゆる「小中理論」のどれからも外れている。

ここまで見せたのに一切この人物を理解できない事、また反対に、ここまで見せられたからこそ共感や一体感を覚えてしまう事への恐怖。

これ、殺人鬼の殺人のエクスタシーを最も上手く体感させることの出来た映画なんじゃないだろうか。娘のところ、人によっては射精した奴もいる気がする