ブラックユーモアホフマン

スーパーバッド 童貞ウォーズのブラックユーモアホフマンのレビュー・感想・評価

4.5
完全に10年前のブックスマートだ。

2007年公開なのでブックスマートまでは正確には12年だけど。
物語の構成がもうほぼ同じと言っても過言ではない。思えばタイトルの付け方も似てる気がする。SuperbadとBooksmart。対照的な言葉だけど、二語で一語みたいなタイトルで。

これが10年経ってガリ勉女子を主人公したのが『ブックスマート』で、小学生男児にしたのが『グッド・ボーイズ』って感じだ。後者はやはりセス・ローゲン&エヴァン・ゴールドバーグの作品。
それぞれ性別と年齢を変えて、中でもウブな若者たちを主人公にすることでより応援しやすい青春映画にしてる。10年の変化。

本作の3人は、冴えないとは言え性欲は剥き出しだし、未成年で酒を飲むことに対しても何とも思ってないし、授業もマトモに受けないし、根が不良なんだよな笑
それもある種のマッチョイズムというか、彼らもまたマッチョイズムに毒されてしまっている、もしくは社会のマッチョイズム的同調圧力の犠牲者だと言えるのかもしれない。今、同じ話を作るなら多分その点をもう少し強調して描きそうだ。
だから内容は、今のポリコレ的基準で言うと微妙なところもあるかもしれないけど、若い男のバカだと思えば可愛らしくも見える、っていうのは自分が男だから甘いのかもしれないけど。

散々バカやるけど、終わり方が切ない。
男同士の友情。お互いに成長することで終わっていく。エスカレーターで降りていく目線。素晴らしいカット。

てかローゲン&ゴールドバーグのファンだと言っておきながら実はまだ観てなかったんですけどね。やっと観ました。最高でした。

この後、ジョナ・ヒルはアカデミー賞にノミネートされ、エマ・ストーンは受賞する。
クリストファー・ミンツ=プラッセは『キック・アス』でまた輝く。(そして『プロミシング・ヤング・ウーマン』へ…)
マイケル・セラはエドガー・ライトの『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』に主演して、逆にサイモン・ペッグとニック・フロストがグレッグ・モットーラと一緒に『宇宙人ポール』を作る。キャスト交換。

そして『宇宙人ポール』にも引き続き出演している3人、セス・ローゲン、ビル・ヘイダー、ジョー・ロー・トルグリオが本作でもとにかく引っ掻き回すwww

ジョナ・ヒル&マイケル・セラの友情もいいけど、クリストファー・ミンツ=プラッセ、セス・ローゲン、ビル・ヘイダーの3人の間に何故か生まれる固い絆が最高ww

てかやっぱビル・ヘイダーって素晴らしいなあ。大好きだわあ。早くビル・ヘイダーにもオスカーを!と思ったけど、エミー賞いっぱい獲ってるか。早く『BARRY バリー』観なきゃなあ。U-NEXT入らなきゃなあ。

ローゲン&ゴールドバーグのほぼ最初の作品でもあり、後に大成していく俳優たちが若者役を楽しく演じているのもあり、そういう意味でもエモい青春映画。
こんなバカな映画が、でもハリウッドに通用して、むしろ彼らがハリウッドのメインストリームを担っていく。

【一番好きなシーン】
Upward-spiraling Pigtail=らせん状ブタのシッポ