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レプティリアのblacknessfallのレビュー・感想・評価

レプティリア(2000年製作の映画)
3.5
ムービープラスのワニの日(8月2日)ワニ映画特集の一本。

監督トビー・フーパーなんだよ。大好きな監督なのに存在すら知らなかったよ🐊

鄙びた田舎町の湖に遊びたい盛りのヤングの男女7人がやってくる。
クルーズしてビール飲んで葉っぱ吸って、あわよくばセックスだーd=(^o^)=b
お決まりのテンションで盛り上がったとこにワニが襲ってくる🐊💨

書くと短いけど、前半、この男女のドラマが長い。
フーパーは"悪魔のいけにえ"以外は前振りじっくり撮るんだよ。"ファンハウス"も事が起こるまで1時間近くあったし。

この男女のドラマは主に主人公の男とその彼女と弾みで関係持ってしまった女の子の三角形が画かれる。
そこにお零れに与ろうとする主人公の友達や彼女の女友達が絡んでくる。
よくあるティーンのそれだね。テラスハウス的な。

とても意外だったのがフーパーなのに、若い男女の恋を瑞々しくリリカルに撮ってたこと。
人物の画き分けもしっかりしてるし、女の子の揺れる心情や、2人の女の子の間をフラフラする男の優柔不断さをきめ細かく撮ってた。
フーパーは人物描写は大雑把なイメージなんでちょっと驚いた。
クオリティ高い。ティーン・ホラー名人のウェス・クレイブンっぽく感じた。

その男女7人のドラマも佳境に入ったとこで満を持してワニのアタックタイムになる。

このワニ、とりあえずパワフルだった。男女が乗った大きめのボートを体当たりで破壊し、でかい口で人体を真っ二つに噛み砕く、ボート止めの橋ごと人間を飲み込む、豪快極まりない攻撃力だよ🐊

何故かと言うとこのワニは、一昔前にワニに取り憑かれた男がどこからか連れてきて湖に放ったワニで、ハッキリ言ってないけど、その男が設立したワニ崇拝するカルト教団の呪い的なやつのせいで、途轍もなく強く、デカイらしい。
鱗が硬すぎでピストルも効かないし笑

当然、こんなワニに狙われたら逃げるしかないわけで、ボートから脱出した生き残り組は陸地に逃げるんだけど、ワニは水陸両用なんで追ってくる🐊
ここは、まんま"悪魔のいけにえ"でレザーフェイスがヒロインを追いかけ回すシーンと同じだった。
ワニが巨体を揺らして猛追してくるのをギャーギャー叫び逃げ惑う若者達、スリリングでよかった。

映画の前半はあんまフーパーっぽくなかったけど、どんどんフーパーっぽくなってくる。
フーパーっぽいと言えば、この呪われたワニに祖父と父を殺されたお爺さんがワニ殺しに乗り出してくるんだけど、この爺さんの佇まいが下品で狂気を孕んでてヤバい笑
髪の毛はバサバサで服もヨレヨレで噛み煙草を噛みながらモゴモゴ話し、煙草の汁を頻繁に吐く、絶対関わりたくないオーラがビンビン笑
レザーフェイスのお父さんぽい不気味さがある。ソーヤー一家に居てもなんの違和感もない笑

別にこの爺さん、話し的に居ても居なくてもいい感じなんだけど、あえてこーゆー人を絡めてくるとこにフーパーっぽさを感じて嬉しくなった。

フーパーのワニ映画と言えば、他に"悪魔の沼"がある。
こっちも不気味なルックで狂ったおじさんが出てくるし、てか、主人公だから笑

悪魔の沼のワニもやっぱり人を食うんだけど、セットがショボくてワニの頭部のハリボテを使うしかなくて、フーパーは不本意だったと言ってた。
今回はその鬱憤を晴らすかのようにC.Gでワニをダイナミックに動かしてた。
でも、要所要所で実物大のセット🐊を使い生々しいゴア演出もしてて、これはこだわりなのかとも思った。
2000年制作だしC.Gだけのが安かったと思うし。

正直、フーパー映画の中では出来のいい方ではないけど、その辺の低予算のワニ映画よりはおもしろかった。
フーパーらしい工夫や作家性が随所にあって笑

工夫と言えば、飲み込んだ人間を吐いてしまうワニってこの映画だけなんじゃないかと思った🐊
吐いた理由もなかなかユーモアがあって笑えた。

これだけでも観る価値はあるよ、フーパーとワニが好きなら笑
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