Tully

夢のチョコレート工場のTullyのレビュー・感想・評価

夢のチョコレート工場(1971年製作の映画)
4.0
「チャーリーとチョコレート工場」を撮ったティム・バートンは、この映画に納得いかず、自分で映画化したいと思っていたそうです。原作の本を読んでいないので、こちらの「夢のチョコレート工場」が物語の世界観を再現できているかはわかりません。ジーン・ワイルダー演じるウィリー・ウォンカも、原作のイメージと合っているかも私には分からないです。でも個人的には、「チャーリーとチョコレート工場」よりこちらの方が好きです。チョコレート工場のセットとかも、古い映画というのもあって、「チャーリーとチョコレート工場」に比べると格段チープだし、普通っぽいミュージカル映画としてまとめられている。でも、音楽はこっちのほうが好きだな。映画としても。チープな中にも、シュールさと、暖かみのある要素がちょいちょい入ってる。このチープさが、かえって好ましいです。同じ原作でも、「チャーリーとチョコレート工場」と、「夢のチョコレート工場」は、本当に別の映画。ウィリー・ウォンカの描き方、セット美術、映画全体の方向性。主人公の少年、チャーリーの家が貧乏というのは同じですし、他の生意気な子供達のキャラも同じ。でも、こっちの映画のほうが、貧乏さ・ひたむきさがリアルなかんじ。主人公の子とおじいさん、お母さんとの暖かな交感みたいな部分も描かれています。子供達の、チョコレートを求めて店に駆け込んだり、お菓子工場の中が見たくてたまらない、っていうかんじは、時代のせいなのかこっちのほうがリアルに見えます。チープなんだけど、夢みる気持ちは強い、そんな古い時代の良さを勝手に感じたり。「チャーリーとチョコレート工場」が好きな人には、こっちの映画は物足りないと思いますが、子供も大人もそこそこ楽しめるミュージカル映画だと思います。音楽が良いです。
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