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デス・トゥ・スムーチーの一人旅のレビュー・感想・評価

デス・トゥ・スムーチー(2002年製作の映画)
4.0
ダニー・デヴィート監督作。

子供向け番組の人気スターに躍進していく青年と、彼にその地位を奪われ復讐心に燃える中年男の姿を描いたコメディ。

独特の風貌を活かした個性派俳優としてだけでなく、『鬼ママを殺せ』『ローズ家の戦争』『ホッファ』等監督としての才能を兼備しているダニー・デヴィートの日本劇場未公開作品で、ロビン・ウィリアムズ&エドワード・ノートンが子供に人気の新旧スターを好演している他、番組製作者のヒロインをキャサリン・キーナー、悪徳代理人を監督のダニー・デヴィート自身が演じています。

子供向け番組の人気スター:レインボー(R・ウィリアムズ)はある日収賄スキャンダルによって解雇されてしまう。番組存続の危機に瀕した女プロデューサー:ノラ(C・キーナー)はレインボーに代わる新たなスターを誕生させるため、サイの着ぐるみを着て慈善活動を行っている純朴な青年:スムーチーをスカウト、一躍子供達の人気者になっていく。スムーチーにそれまでの地位を奪われたと感じたレインボーは復讐心を燃やし、あの手この手でスムーチーの評判を貶める妨害計画を企てる…というお話で、テレビ画面に映る楽しさいっぱい夢いっぱいの子供番組とは裏腹に、番組に関与する大人達の歪んだ欲望と憎悪と暴力が渦巻いて止まない“お子様お断り”なブラックコメディに仕上がっています。

スムーチー:「善」vsレインボー:「悪」という対立構図を基本に、彼らの間にマフィア勢力と悪徳代理人の陰謀、ヒロインの女製作者の思惑と微妙な恋心が複雑に絡んでいく群像劇風の作劇になっています。お話のまとまりにやや欠けているのが弱点ですが、スムーチーの誠実さと良心が周りの大人達の薄汚れた心を浄化していく様子は心晴れやかな気分にさせてくれますし、テレビの前に座る子供達の姿を想像できない大人は番組を作る資格すら無いことも解ります。
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