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ロミーとミッシェルの場合の堊のレビュー・感想・評価

ロミーとミッシェルの場合(1997年製作の映画)
3.2
『プリティ・ウーマン』を家で36回観てるような主人公たちはまちがいなくジョックから程遠く、しかしギークたちともちがうから女同士でシンディ・ローパーを歌って踊るしかない。レズビアンになることもできず「ほんとうに」好きなひとも何一つ得られないまま、過去に固執し卒業アルバムをめくり続ける主人公たち二人組をデヴィッド・マーキンら本作の制作陣は明らかにグロテスクに造形している。空疎に流れ続ける80sアンセムは誰の心も癒やしはしない。彼女たちは終盤、「子供を産んだ気分だね」のセリフとともに妊娠=ゴールの価値観に対し明確にNOを突きつける。なにかを生み出す萌芽をまきつづけること。時間でも資本でもなく、それだけが階級構造に抵抗できる。
なぜかファーストカットを筆頭にオマージュされまくっているヒッチコック……
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