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くたばれ!ユナイテッド -サッカー万歳!-のkimaguremovieのレビュー・感想・評価

3.8
サッカーを語るにお勧めの作品です。

サッカーは監督のゲームと言われます。プレーヤーは生身の人間で、製造物ではありません。勝負の場となる広大なピッチを支配するには選手たちの一体感が必要です。優秀な選手たちであるほど、強いチームであるほど組織をまとめる監督、指導者の力が重要で、このあたりサッカーに限らず、普遍的な組織論に通じるものがあると思います。
その中軸である監督業に焦点を当てた実話に基づく作品。強力FWながら若くして引退を余儀なくされたクラフは、監督としては優秀だが傲慢であり、強豪リーズユナイテッドを6週間足らずで解雇されてしまいます。
右腕のコーチテイラーと仲違いし、仮想敵のレビィと対立するあまり選手、フロントの総スカンを食います。お先真っ暗。自分だけの野心に生き、最高のパートナーと決別すればそうなりますね。
しかし、終わってみればイングランドが誇る監督となりました。テイラーとの和解はとても大きい。そして恐らく本人の成長のなせる技。監督は、専門家であり、社長でもあり、道化師でもあり、俳優でもあり、兄貴でもあり、親でもある。この監督業を我がものにしたからなのでしょう。

一時は最高の監督ともてはやされた高名なレビィはその後没落するという監督業のコントラストとともに、究極の商業主義に陥っている今のプレミアリーグというサッカービジネスのコントラストも見どころだったように思いました。
オーナーの思い、街の思いはサッカーもそうですが野球のメジャーリーグにもあるように、スポーツ文化があってのもの。スポーツ先進国こその作品と思いました。
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