このレビューはネタバレを含みます
水面に広がる波紋が美しい。
概ね悲劇的だけど、それだけでは終わらない展開が多く引き込まれる。
厨子王が奴隷から脱せたのも、結局生まれの身分が高かったことに起因する。家宝がなかったら関白に謁見できなかっただろう。生まれによって人生が決まる社会構造で、それが当たり前の時代ということがありありと分かる。
この時代に慈悲の心を持ち続けるなんて勇気あるなと思いつつ、本質的には今もあまり変わってないのかなと思ったり。
田中絹代の人となりは知らないが、本人の苦労が滲み出るような、安定感ある落ち着いた演技が魅力的。
最初と途中に、地面に埋まった丸い物体を映すカットがあったけど、何か分からず気になった。