観賞から2ヶ月経過してしまいましたが、未だロングラン上映が続いていますので、ようやくまとまった感想を書きたいと思います。
この作品を観て、映画って本当に総合芸術だよなぁと、しみじみ思いました。
というのも、本作は、作品を成り立たせている各要素の出来のレベルが、実にバラバラだと感じたからです。
まず、ストーリーは、なかなか良い感じで、FF XⅤという壮大な話の序章のみ。とある星での、クリスタルをマクガフィンにした国同士の覇権争いを描いています。
序章のみとは言っても、主人公・ニックス編としては一区切りついており、更にはラストの続きが気になる、良い按配ではないでしょうか。
キャラクター設定や造形も、好感が持てました。
主人公ニックスは、FFの主人公とは思えない程、ちゃんと強そうで男らしい。
ヒロインであるルナフレーナも、ただ守られているだけではない強さと行動力を持っていることが、とても現代的で良いですね。
ただ、登場人物たちの行動原理が、俺には理解しづらかったです。ニックスやルナフレーナは、何故、あそこまで命を懸けて頑張るのかな?
物語上、ヒーローとヒロインとしては当然の行動なので、疑問を抱かずとも観れてしまいますが、国のため!未来の王のため!と言われても、普段、政治や国の将来など大義について考えたことのない自分にとっては、その行動や考えが、じゅうぶんには理解や共感ができませんでした。
だけど、これは作品が悪いってことではありません。 ちゃんと響く人もいるだろうから、俺には理解しづらかったというだけです。
一方、映像技術について。キャラクターを含めて、動いていない時のCG画面は、文句なし超美麗。
それが、また実写とは一種違った独特のリアルさで、おかしな褒め方だけど、動く写真という感じ?なんか変な言い回しですけど、そんな印象でした。
が、問題は動いている時の、重力表現です。キャラクターの動きに見合った重さや反動がなく、フワフワと不自然なため、マリオとかゲーム内のキャラクターみたいな感じで勿体なかったですね。
また、布と金属、人や水など、各素材ごとの質感や挙動の違いの表現も惜しい感じでした。
本来なら、上記した技術面は文句を言うほど酷くはないのですが、そのCG技術面が大きなセールスポイントの作品だと思うので、そこは、「すげぇ!ピクサーと張り合えてるじゃん!」と言わせてくれる程のレベルだったらなぁと、期待値が高すぎることは承知の上で、書いてみました。
次に演出。これは、カメラワークのダメさが、1番大きな問題ではないでしょうか。
とにかく、何でマイケル・ベイ的な馬鹿げたカメラワークにしたのか…。何をやっているのか全く把握できないし、見づらく非常に残念でした。
独自の見解ですが、アクションシーンでカメラが動いて良いのは、主にアクションが不得手な人への補助だと考えていますので、今回のニックスやルナフレーナの様に、動ける人の場合は、基本的に固定で良いと思います。
カメラの不用意な動きは、俳優のアクションを殺してしまうし、何より実写だったら役者さんに失礼だよ!
見映えのする映像として、ニックスの繰り出す魔法技のバリエーションが、もっとあっても良かったな、とも思いました。
で…今回、最も残念だったのは、ボイスキャスティングです。
主役2人が、本当にどうしようもなかった。下手なうえに、声が合っていないと思いました。これは、本人たちというよりは、採用した製作側の責任ですね。
明らかに声の演技だけで選んだとは思えないし、作品を良いものにしたい、という以外のくだらない狙いとかを感じて、グッタリです。
映画って、何がノイズになるか、分かったもんではないですね。
ただ、総合的に見て、作品自体は硬派な作りで好感を持ちました。じゅうぶん、一見の価値はありますよ!(^-^)