炭酸煎餅

シルバー・サドル 新・復讐の用心棒の炭酸煎餅のレビュー・感想・評価

3.7
マカロニ・ウェスタンのスター、ジュリアーノ・ジェンマ主演でルチオ・フルチ監督の、1978年のイタリア製西部劇映画。
面白かった!

主人公はかつて10歳の時に父を殺した相手の不意を突いてその場で撃ち殺し、その男が使っていた銀の装飾の入った鞍と馬を奪ったという経歴を持つガンマン、ロイ・ブラッド。長じた彼は世間からは死神のように噂され、付いたあだ名は「シルバーサドル」。
そんな彼が、強盗や銃撃戦の後に現れては死体の懐を探って稼ぐ小悪党・自称スネークと出会い、彼と行ったある町で、ゼンマイ仕掛けの携帯用ミニルーレットを手遊びで回す謎の金髪ニヤケ男(ちなみにルーレットに特に意味は無い)、ターナーから「仕事」を依頼される所から話が始まります。
依頼の内容は、ある墓地へ参拝に来るという、とある人物を暗殺しろ、というだけの物。
ロイは「俺の銃はそんな"仕事"には使わない」と断ろうとするのですが、標的が父を破滅させた一味の首謀者と知り、一転「タダでも引き受けてやる」と現場に向かいます。
ところが、指示された時間と場所に現れたのはまだ幼さの残る、10歳ぐらいの少年。聞いていた話とまるで違う事に戸惑うロイは、少年を狙う他の襲撃者の存在に気付くと反射的にそれらを撃ち倒し、成り行きで少年を連れてその場を走り去るのですが……。
果たしてこの怪しい依頼の裏にあるものは?少年を殺そうとしたのは誰か?

マカロニらしく(?)命は軽くて残酷で悲劇的なシーンもありますが、基本的には純エンターテインメント志向で西部劇ヒーロー映画という感じの作品でした。
悪党に狙われる少年が単に「守られるだけ」の存在ではなく、子役ながらも言動が「いかにも子供が台本で言ってるだけ」みたいな感じがしなくて(まあイタリア語の演技なんてよく分かんないんですが……)本当に聡明でしっかり者に見えるキャラだったのも観てて心地よかったですね。
同監督のマカロニ・ウェスタンの前作「荒野の処刑」ではサイモン&ガーファンクルみたいな挿入歌が流れてうら寂しさを盛り上げていましたが、今作で流れていたビリー・ジョエルみたいな曲も本作のどことなくあたたか気な雰囲気にマッチしていたと思います。

緊張感のある場面で妙にのんびりした曲が流れたりしてBGMの選曲が時々謎だったのと、あと欲を言えばもう少しケレン味を入れて盛り上げることも出来たと思えるシチュエーションがちょこちょこあったのは難点と言えなくもないですが、本当に出てくる人物出てくる人物がみんなめちゃくちゃキャラが立ってて、なにこれ日本のマンガ?wというノリの雰囲気だったので、特に日本人が観てみると楽しい映画なのではないでしょうか。

余談:「新」と付いてるのでじゃあ「復讐の用心棒」もあるのかな?と思って調べてみたら、案の定、全然繋がりの無い作品に付けられてる勝手邦題だったのは笑いました……w
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