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私の少女時代 Our Timesのakrutmのレビュー・感想・評価

私の少女時代 Our Times(2015年製作の映画)
4.7
平凡な女子高生が不幸の手紙を送ったことをきっかけに知り合う校内一の不良青年に次第に惹かれていくが、素直に自分の気持ちを伝えることができないという、青春時代特有の甘くて切ない恋愛感情を描いた、フランキー・チェン監督の青春恋愛映画。数多くの人気TVドラマを製作してきたフランキー・チェン監督の初監督作品であり、高校時代の女性の心情が細やかに表現されている。

年齢を重ねてしまうと日常でこういう恋愛感情に直面することはなくなってしまうが、青春時代に感じた想いを再体験させてくれる青春映画はいつ見ても美しく、台湾映画はそういう気持ちにさせる珠玉の恋愛映画が多い。本作もその例に漏れず、高校生の恋愛を情感豊かに描いた素晴らしい青春映画である。前半は若者向けの軽めの映画のように感じたが、話が進んでいくにしたがって、そんなことも忘れて映画の世界に引き込まれていった。相手のことを考えるだけで胸が高鳴り幸せな気持ちになったり、自分の気持ちに正直に振る舞えなくてもどかしい想いをしたりと、いつの時代でもどこの国でも共通して感じる甘酸っぱい気持ちが印象的に描かれている。個人的には、ラストの結末がないほうが映画としての完成度が高くなるかなあと思うけれど、まあこういう結末も許せてしまう。

主人公の林真心を演じたビビアン・ソンの笑顔がとても可愛い。演技も素晴らしくて、ユーモラスな言動はもとより、平凡で冴えない感じから綺麗な女性に変身していく様子が印象的。本映画の男性視点版とも言える『あの頃、君を追いかけた』のギデンズ・コー監督のプロデュース作『等一個人咖啡』(日本では未公開みたい)で映画デビューして、第2作目の本作が出世作である。

ビビアン・ソンはもちろん素敵なのだが、それ以上に素敵だったのが、不良青年・徐太宇を演じたダレン・ワン。すでに何作もの映画には出演していたが、本作で大ブレーク。最初は眉毛の太さだけが気になったが、林真心に対して見せる優しい表情はイケメン以上のカッコよさで、男ながら惚れてしまう。
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