先日亡くなられたモンテヘルマンの代表作の一つである闘鶏をテーマにした異色作。
安定した安さで必ず黒字を出すニューワールドピクチャーズ作品の中で唯一赤字になった映画、
それがこのコックファイターだ。
まず題名がいいよね。コックファイター。
声に出して言いたくなるぞ。
"コックファイター!"
闘鶏のチャンピオンになるまで誰とも一切口をきかない誓いを立てた闘鶏トレーナーが、恋人に愛想をつかれてもめげずに最強の鶏を手に入れて大会に挑むストーリーなんだけど、
誰も見ようともしなかったから結局封印作品扱いとなり、映画の内容と現実が非常にリンクした作品になってしまった。
見る人にとっては主人公の彼女のように激しい嫌悪感を抱く可能性すらある。
更に、当のモンテヘルマンも闘鶏自体を嫌悪していたらしい。
コーマンの自伝本『私はいかにハリウッドで100本の映画をつくり、しかも10セントも損をしなかったか』によると、映画にするためにみんなで実際の闘鶏を見に来たら、モンテは「ああいうものは見たくない」と言って外の駐車場にずっといてたエピソードが記されている。
だから、これは闘鶏や勝負に生きる男をカッコよく描いた映画ではないと思う。
(これはなんだ?)と言いたくなる狂気をはらんだ世界で生きる人間が、結果はどうあれ他人に理解してもらおうと歩み寄った、そんな作品なんじゃないだろうか。
主演はペキンパー作品でお馴染みのウォーレンオーツ。
コーマンの娯楽性にアメリカンニューシネマ的な哀愁を足した作品です。
【一度でいいから闘鶏を見に来てくれないか
君に理解してほしい】