『陪審員2番』('23)を鑑賞した後にネット情報を漁っていたら、クリント・イーストウッド監督が若い頃に強い影響を受けた作品のひとつとして本作を挙げているとの記載に目が止まりました。西部劇は好きなので観ることに…。
舞台は19世紀末のアメリカ西部(ネバダ州)で、開拓時代の終わりが見え始めたころ。広大な自然と荒涼とした土地が広がり、文明の進出と牧畜業が交錯するまさにフロンティアといえる独特の空気感がありました。辺境の宿場町は、簡素な酒場や宿屋が数軒並んでいて侘しい感じ。うーん、まさに西部劇だねー。
……と思いきや、少年心をくすぐるような正義の味方が悪を成敗する単純明快な活劇ではなく、うーんと大人向け。
“正義”の名のもとに集団心理によって群衆が狂騒してしまう恐ろしさを描いた作品でした。本作が公開されたのは第二次世界大戦の真っ只中で、多くのアメリカ人は団結や正義感を称賛する映画を求めていただろうに、そんな気持ちに水を差すような作品だったのではないでしょうか。公開当時に観た方は、ショック受けた人多かったでしょうね。
宿場町の住民たちが無実の3人を偏見で牛泥棒と決めつけて縛り首にし、その後悔に苛まれるという話。止められなかった主人公(ヘンリー・フォンダ)たちの無力感が物語の後味を苦くしていました。
タイトル見ただけだったらまず観てなかったな。古い映画ですが期待していた以上に面白かったです。