牛泥棒の作品情報・感想・評価

「牛泥棒」に投稿された感想・評価

HAL2016

HAL2016の感想・評価

3.5
アメリカ映画らしからぬ、地味な映画ですね。内容は民主主義において少数派意見をどう反映するかみたいな話ですが。。。クリントイーストウッド監督が名作としてあげていたそうですが、この話に娯楽的な要素を入れると彼の作風に近くなるような気がしました。
ubik

ubikの感想・評価

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無実の罪で首吊りに処される男たちを慰めるべく黒人の男がひとり歌うのが素晴らしい。
No.163[大傑作!感情論に流された男たちの末路] 99点↗

題名にセンスを感じなかったので気乗りしなかったのだが、75分という上映時間に惹かれて鑑賞。久しぶりのヘンリー・フォンダはお元気でした。

というテンションで見始めたのだが、これが大傑作で驚いた。まるで社会の縮図じゃないか!ストーリー展開も巧みだし、人物のキャラ付けも上手だし、結末まで最高!一つ一つ見ていくとしよう。

①ストーリー展開
舞台を設定するためには人物名と状況を提示しなくてはならない。最も簡単な方法は字幕で済ませることだが、さりげない会話を使うとなると監督もとい脚本家の腕の見せどころだ。そういうのはジョーゼフ・L・マンキーウィッツとかビリー・ワイルダーの専売特許だと思っていたが、本作品も巧みだった。舞台は第一部となる街、第二部となる茂み、第三部となる三人の寝床の三ヶ所のみであり、会話が中心に話が進んでいく。
たった一言二言だけでその人の立場が立ちどころにわかってしまうのには感服したし、この話の中心にある”感情論に煽動された普通の人々”が垣間見えるシーン(例えば、酒をタダにすると言われ馬から多くの人が降りるシーンや執行を夜明けまで待つ間の宴会シーン)には唸ってしまった。
しかも、なんとなくこういう人物なんだろうなと薄々気付き始めたところでフォンダが的確な人物評をスパッと一言で投げ込む。うぐぅ…上手い…

②キャラ付けの上手さ
名ありキャラはそれぞれ役割を担っている。
久しぶりに立ち寄った故郷で事件に巻き込まれる主人公と相棒。
→観客である我々
映画冒頭で牧場主が殺された、と街に言いに来る青年。
→事件の発端、傍観者
復讐一本の牧場主の親友。
→憎しみ感情の中心
やたら血の気の多い酒飲みじいさん。
→扇動者
南北戦争の栄光を未だに引きずる少佐とそのボンクラ息子。
→権威
最後の最後まで説得する街の地主。
→良心、マイノリティ
無駄と分かっていてもいずれ殺される男に寄り添う神父。
→宗教、マイノリティ
職責を果たせない判事。
→司法
感情論に任せて職責を放棄する副保安官。
→堕落した警察・検察
男勝りのおばさん。
→女性(彼女だけで女性全体を内包するとは思ってないが)
すべての人物の人となり紹介を会話のみで行う技術もすごいが、これほど身近にいそうな人物たちを一つに集めて料理する技術に惚れ惚れした。

③やはりフォンダは合っていたという結末
ハリウッド映画の特色上、”間違い”は許されないし、どっちつかずで終わることはない。つまり、どれだけ疑わしい証拠が出てきてもフォンダが合っていることは最早必然なのだ。となれば、本作品は法を守ることの尊さを説いた教育映画なのか。いや違う。
制作されたのは戦時中。おそらく根底にはいわれのないドイツ人や日本人への嫌悪、サッコ・ヴァンゼッティ事件以降アメリカが引きずる感情論に則ったレイシズムがあり、それに警鐘を鳴らしたかったのではないか。

④奇妙な偶然かフォンダの必然か
本作品でのフォンダは惜しいとこで正義を貫けなかったが、後に「十二人の怒れる男」で感情論に任せた私刑に徹底的に対抗することになる。偶然か必然か分からんが、この関連も考えてみると面白い。

とここまで書いたのだが、フォンダの恋人の登場は未だに謎である。フォンダの人物像に深みを与えたかったのだろうが(特に第一部ではこういうの必要)、別にいらない気がした。そんなにキレイな人でもないし。
犬

犬の感想・評価

3.8
良心

1885年
ダラスのある町にカーターという男がやって来る
そんな折、町の牧場主キンケイドが殺され、牛が盗まれる事件が発生
町の人々で犯人探しに乗り出すが....

一応、西部劇

なんでこんなことに、、

考えさせられます
なかなか重いテーマでした

人間の心理って恐ろしいですね

無駄を省き、上映時間が短いのが特徴
ラストも良かったです
傑作。町人どもが、誤情報に惑わされ無実の人間をリンチ殺人するっていう、エグイ、西部劇にしては異様な設定。イーストウッドのベスト1なのもうなずける。2000以降の、救われない彼の作品みたいだった。

リンチされる側に、ダナ・アンドリュースと、アンソニー・クインがいるんだけども、この若き日のクインが糞イケメンで驚いた。いや、驚いた! あと、首吊りジェスチャーして、おちょくってくるクソ親父の面がマジでむかつんだけど、いい俳優だなあれはあれで。

あと冒頭の夜道でたまたま出会う、フォンダの元カノのシーンはよくわからないんだけどもw 
すげーブスというか可愛くなかったなぁ。なんなんだろうあれは。

ラスト、バーでのフォンダの手紙の音読シーンで、フォンダの目のところだけ、相方の帽子のつばで隠れるのは、なんなんだろうな。意図的なんだろうけど、次のショットではふつーに目が映ってたからよくわからない。
kyuta

kyutaの感想・評価

3.9
心にじんわりと響く良作。
人間として生きていく為に必要なものは何であるのかを考えさせられた。また、他者を排除すべきだという風潮が広まりつつある今の世の中だからこそ観るべき作品!

同じヘンリー・フォンダの主演作『12人の怒れる男』とも類似したテーマを扱った作品であるように感じた。
私刑の是非に関する物語。取り返しがつかないことが影だけで示されることの恐ろしさ、手紙を読む場面でヘンリー・フォンダの目が見えないことなど、さり気に恐怖心を感じる演出が凄い。イーストウッドに与えた影響も納得(特に『ミスティック・リバー』)
カイル

カイルの感想・評価

4.0
1885年アメリカ、ネバダ州が舞台の西部劇。
私刑、冤罪、群衆心理の恐ろしさを描いている。暴徒化した人間はバケモノだ。

この映画のクライマックスは、ヘンリー・フォンダ演じるギル・カーターがマーティンの手紙を読むところ。
「人が誰かに私刑を行う時世界中の皆が傷つく。すべての法を破るからだ。」
「法とは正義のすべて、そして善悪のすべてだ。法こそが良心なんだ」
死を前にした人間がこれほどの言葉を書けるのだろうかという疑問はさておき、とても説得力があった。

法曹界に身をおく者、または目指している人たちに是非観てもらいたい映画。
正味1時間15分で、これだけ鬱にさせる映画も珍しい。

実際にあった私刑事件を題材にした異色の西部劇。主演はヘンリー・フォンダ、ダナ・アンドリュース。

仲間を殺した牛泥棒を捕まえようと息巻く町の連中…これがまたよくこれだけ揃えたねぇと思うぐらい品のない顔の人ばかり(苦笑)

捜索するなか、犯人とおぼしき三人組を捕まえるが、ろくに裁判もせずに縛り首にしようとする…。

こういう一旦火がついちゃった時の群衆心理の怖さを描かせると、やはりアメリカ映画が一番上手い。

そしてウェルマン監督の演出が素晴らしく、観賞後も深く余韻を残している。
冒頭とラストが対になっているのも心憎い。
yasumax

yasumaxの感想・評価

4.6
私刑制度という集団による非人道的行為をテーマにした西部劇。
クリントイーストウッドが影響を受けたとされる作品として有名な本作ですが、私的にも頷ける内容。

ストーリーはシンプルながら冷静な判断を見失う集団意識の怖さ、被害者である3人の容疑者のそれぞれの個性を強調させる描写も絶妙。
あの場で7人の様な決断が果して出来きるだろうか?…ひとりひとりの心に重く突きつけられる作品。
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