牛泥棒の作品情報・感想・評価

「牛泥棒」に投稿された感想・評価

kyuta

kyutaの感想・評価

3.9
心にじんわりと響く良作。
人間として生きていく為に必要なものは何であるのかを考えさせられた。また、他者を排除すべきだという風潮が広まりつつある今の世の中だからこそ観るべき作品!

同じヘンリー・フォンダの主演作『12人の怒れる男』とも類似したテーマを扱った作品であるように感じた。
私刑の是非に関する物語。取り返しがつかないことが影だけで示されることの恐ろしさ、手紙を読む場面でヘンリー・フォンダの目が見えないことなど、さり気に恐怖心を感じる演出が凄い。イーストウッドに与えた影響も納得(特に『ミスティック・リバー』)
カイル

カイルの感想・評価

4.0
1885年アメリカ、ネバダ州が舞台の西部劇。
私刑、冤罪、群衆心理の恐ろしさを描いている。暴徒化した人間はバケモノだ。

この映画のクライマックスは、ヘンリー・フォンダ演じるギル・カーターがマーティンの手紙を読むところ。
「人が誰かに私刑を行う時世界中の皆が傷つく。すべての法を破るからだ。」
「法とは正義のすべて、そして善悪のすべてだ。法こそが良心なんだ」
死を前にした人間がこれほどの言葉を書けるのだろうかという疑問はさておき、とても説得力があった。

法曹界に身をおく者、または目指している人たちに是非観てもらいたい映画。
正味1時間15分で、これだけ鬱にさせる映画も珍しい。

実際にあった私刑事件を題材にした異色の西部劇。主演はヘンリー・フォンダ、ダナ・アンドリュース。

仲間を殺した牛泥棒を捕まえようと息巻く町の連中…これがまたよくこれだけ揃えたねぇと思うぐらい品のない顔の人ばかり(苦笑)

捜索するなか、犯人とおぼしき三人組を捕まえるが、ろくに裁判もせずに縛り首にしようとする…。

こういう一旦火がついちゃった時の群衆心理の怖さを描かせると、やはりアメリカ映画が一番上手い。

そしてウェルマン監督の演出が素晴らしく、観賞後も深く余韻を残している。
冒頭とラストが対になっているのも心憎い。
yasumax

yasumaxの感想・評価

4.6
私刑制度という集団による非人道的行為をテーマにした西部劇。
クリントイーストウッドが影響を受けたとされる作品として有名な本作ですが、私的にも頷ける内容。

ストーリーはシンプルながら冷静な判断を見失う集団意識の怖さ、被害者である3人の容疑者のそれぞれの個性を強調させる描写も絶妙。
あの場で7人の様な決断が果して出来きるだろうか?…ひとりひとりの心に重く突きつけられる作品。
yui

yuiの感想・評価

4.2
私刑の場面はモヤっとしましたが、とても考えさせられる良い作品だと思いました!

古い慣習、異分子に対する軽蔑、多数決原理の怖さ、これらを内包する閉塞的なカウボーイのコミュニティの様子が伝わってきました。

今後、この町の住民たちは何か変わるのかという疑問が残るほど印象的でした。
yskiszk

yskiszkの感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

すごい映画だ 多数決による私刑 法と正義 出発前勇んでた人達ほど現場で何もしない 帰還後の少佐の息子のセリフと処刑された男の手紙が全てを物語ってる 人が人を裁くということ 昔から冤罪による私刑っていっぱあったんだろうなって思った
torisan

torisanの感想・評価

4.0
集団心理が暴走すると、正論言っても止められなくなってしまい、本当におっかないなと。アメリカの自警主義か根底にあるというのは言われてみれば成る程という感じ。尺も短くてシンプルな話でした。
tjr

tjrの感想・評価

3.9
正義という言葉とマッチョイズムへの疑義に満ちたこんな映画が戦時中に製作されていたという驚き。
終盤は若干説明過多な印象があるがそれでもなお偉い作品。しかし本当のラストカットには戦慄せざるを得ない。イーストウッドのATBというのには納得できる。
犬と酒場に始まり犬と酒場に終わる、円環的な構成も良い。清水宏「有りがたうさん」の犬を思い出した。
まつき

まつきの感想・評価

4.2
戦時中1943年に作られた西部劇。西部劇にしてはドンパチがなく、討論・多数決などの会話中心で構成され、ちょっと異質かも。75分という短い時間ながら、重みがあるため、悪い意味でなく時間は長く感じた。

とある町の牛が盗まれ、その牧場主は殺され、やがて3人の男が容疑者としてとらわれる。とらえたのは、町で即席で作られた自警団で、「絞首刑にするかどうか」の討論を始める。

怪しげな状況証拠が多数あるとはいえ、決定的な証拠が欠ける中、「絶対こいつが犯人だ!早いとこ吊るせ!」「いやいやちょっと待ってよいい人そうじゃん」「なんでもいいから吊るしたいから吊るそう!」とそれぞれが意見をし、やがて多数決へ。

現代を生きる自分としては、決定的な証拠もないのに裁く裁かないという話になる自体少し引いた目で見てしまうけれど、自分の身近なこととして捉えてみるとどうだろうか。

何か「大事な変更・決断」をするときに、冷静さを欠き感情に任せた勢いで、不確かな要素を吟味せず、明らかに誤った決定がなされることがある。それには、先に挙げたような人間の未熟さの他、複数人集まった時に働く群集心理が作用している。

本作は、そうした人間の愚かさ、組織による決定が不確かであることが描き批判すると同時に、「それが人間だから仕方ない」とキリスト教的な赦しを与えてくれる。自分にとっては、いわゆる「胸糞悪い」気持ちとともに自らを省みながら、救われた気持ちになれる作品でした。
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