インポに悩まされているラジオパーソナリティ（中丸信）が、街頭インタビューで出会った美人妻（宮下順子）の性生活に感化されていく。「不能」という心の病を題材に取りながら、性的欲動の多様性を語っている、日活ロマンポルノ。

「夫婦円満の鍵は、人には言えないところにある」に気づかされた主人公が、夜な夜な、宮下順子と小松方正の寝室をピーピングする。宮下順子の性欲一直線が魅力満点に描かれており、情欲を刺激させられた主人公のハッスルぶりを楽しむことができる。

主人公には看護婦の妻（谷口香織）がいるのだが、彼女が担当する入院患者というのが、なんと本人役の三上寛。病室にアコギを持ち込んでおり、尿瓶をいくつも使用するなどの下ネタで笑わせてくれる。ラストの弾き語りコーナーも楽しい。

後半部に入ると、小松方正と接触した主人公が、覗きプレイの了承を得る展開へと突入。「窃視する側・される側」のエロスが本格的に動き出す。「夫が関知していないところで、妻がホニャララ」のパターンを、男女逆転させたような発想が面白い。

宮下順子は大好きだけど、だいたい幸が薄かったり高貴な奥様然としてたり性に溺れてただれまくってたりするので、こんなに可愛らしくコケティッシュな宮下順子映画はあんまり思いつかない。武田一成っぽく人間愛にあふれたあったかい映画。小松方正のエロおやじは本当にハマる（何回言ったかわからない）。そして中丸さんのシュッとしたレポーターもハマってる。カエル映画（姉妹理容室）を思い出すのが嫌だけど。夫婦なんて狐と狸、化かし合ってうまくやってくんだという小松さんの至言。夫婦っていいなと思えるあったかい作品。三上寛の歌いいよねぇ。こげちゃう～とかひろがっちゃう～とか、夫婦だけの秘密よね。

終盤に小松方正が意味なく二役演じているが、それがべらんめえ調の寿司職人とインテリ風の学者先生という両極端な役柄でそのどちらも恐ろしく様になっていて適当に遊んでいるだけのようなポルノ映画だが小松方正の凄味を無駄に思い知った。俺は大島渚組の役者が大好き。