デニロ

ピーター・フォークの ビッグ・トラブルのデニロのレビュー・感想・評価

3.5
1986年製作。脚本ウォーレン・ボーグル。監督ジョン・カサベテス。

保険外交員アラン・アーキンには、イェール大学の合格した三つ子の優秀な息子がいる。が、彼の収入では学費を工面することが出来ぬ。妻は、UCLAなんかじゃなく、どうしてもイェール大学に入れたいと願っている。な、何とかしよう。イェール大出身の社長に奨学金の優遇を頼み込もうとするもにべもない返事。

お屋敷の保険の相談ということで呼び出されると、フリル付きのブラジャーとパンティ、その上にスケスケのピンクのネグリジェをはだけたムチムチのお色気マダムに泣き付かれます。旦那は心臓病で余命幾許もないけど、なんと保険を解約しちゃったとか何とかで、わたしこれから生きていけない、どーにかして!というような話だったと思うけど、その夫ピーター・フォークとお色気マダムのテンション高めの振る舞いにアラン・アーキンは押されっ放し。もうどーなってもいい。金が欲しい。お色気マダムの保険金殺人計画に加わるのだが。

件のふたりは詐欺で飯を食う輩で、その詐欺計画に遂には引き摺り込まれます。その保険金詐欺も保険会社の同僚の監査で見破られてしまう。というか、この死体生きてるよね、って誰にでもわかるだろうという杜撰さ。話を真面目に追っていたわたしがバカだった。ナンセンスコメディなんじゃないか。カサヴェテスがそんなもん撮るわけないと思い込んだのが間違い。本作、当初脚本を書いた人物が監督として撮影を進めていたのだが、多分金がかかるばかりで下手糞だったんでしょう途中交代。そんな事態の改善のため、おそらくピーター・フォークが盟友カサヴェテスに頼んだんじゃないかと思う。

この後、題名通りの展開となり、同僚を拘束、憎まれ社長の屋敷や会社を襲撃すると、意外というかあきれるというか大転回し、フェリーニ風三つ子のイェール大学進学パーティに雪崩れ込むのです。

本作がジョン・カサヴェテスの最後の監督作品になるのでした。

映画館ストレンジャー  The Other Side of John Cassavetes『カサヴェテス特集』 にて
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