明石です

狼男の明石ですのレビュー・感想・評価

狼男(1941年製作の映画)
3.6
満月の夜に化け、人を襲う狼になってしまった悲しい男の話。1930~40年代にモンスター映画を量産したユニバーサル・ピクチャーズを代表する怪奇映画。様々なホラー映画の劇中で、ポスターなんかで登場してるのは見たことあるものの、本作自体は初鑑賞でした。

主演のロン・チェイニーJrは本作の「狼男」含め、フランケンシュタイン、ミイラ男、ドラキュラとユニバーサルの4大モンスターを全て演じた怪奇映画のトップスターとのことですが、私的にはベラ・ルゴシほどの魅力は感じなかった。特になぜヒロインが彼に惚れたのかが全くわからない、、「望遠鏡を覗いてたら、君の部屋が見えたんだ」お姉さん!覗き魔ですよこの人!!ああそうか、、ナンパの仕方が苦手だったのかも笑。おかげで、そんな下世話な口説き文句で簡単に落ちちゃうヒロインの方にも感情移入できなかった。

しかし自分の意志とは裏腹に、夜な夜な人を襲う殺人鬼と化してしまう男の苦悩がこの俳優さんの顔にはよく表れていて、ユニバーサルが狼男シリーズをずっとこの人にあてがい続けた理由はなんとなくわかるような気もする。化ける前から目に哀愁が宿ってるもの。

1回のメイクに2時間半かけていたという、動物の毛を直接貼り付けたある意味原始的な特殊メイクはお見事で、俳優さんの表情がそのまま活かされてるのが良いですね。後年の『ハウリング』や『狼男アメリカン』のような気合の入ったメイクもいいけど、モンスター<<<人間な感じの雰囲気がよく出たこちらのメイクの方がかえって(狼男に化けてる間は)感情移入できた。

何より、霧の立ち込めた森の景色はとても美しく、ウェールズの古都という設定らしいのですが、まるで眠れる森の美女の一場面かのような寓話感があって素敵。いわゆるハリウッド黄金期の大量の予算をかけたセットの手の込みようは並外れたものがありますね。
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