りょう

エレクション 死の報復のりょうのレビュー・感想・評価

エレクション 死の報復(2006年製作の映画)
3.4
 前作からの正真正銘の続編なのに、なぜ日本で未公開だったのかわかりません。前作のなんとなくアンバランスな構成と中途半端なエンディングからすると、それがこの続編を前提にしたものだったとしか思えませんでした。
 反社会的勢力の会長を2年で交代させるための選挙といっても、10人程度の長老たちによる多数決(しかも挙手)なので、実質的には縁故的に後継者を決めているだけのような…。有望な候補者がひしめいているようでもないので、再選を許さない2年の任期は、ちょっと短すぎるように思うし、それが弊害となって今回も内紛に発展している印象です。
 前半の演出が間延びしていて、あまり冴えた脚本・演出でもありませんが、後半になって会長に立候補した現職のロクと実業家のジミーの抗争になるあたりから、えげつない暴力の連鎖になります。相変わらず銃撃シーンがなく、デヴィッド・クローネンバーグ監督の「イースタン・プロミス」を連想しました。開山刀による斬りあいが残酷さを強調していて、トンクンがトラックのコンテナの密室で格闘し、後方の扉から傷だらけの姿をあらわすシーンなどが印象的です。
 「ザ・ミッション 非情の掟」のようにスタイリッシュなカッコよさはありませんが、前作と併せて観れば、登場人物の個性が際立つような佳作でした。
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