爆裂BOX

DNAの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

DNA(2008年製作の映画)
3.7
タスマニアタイガーの調査中、不慮の事故で死んだ姉に代わり、恋人のマットやその友人達と再調査に乗り出したニーナ。しかし、向かった先の島にはある呪われた歴史が隠されていて…というストーリー。
「ドクター・モローの島」のリメイクを始めとしたモンスターパニックの「D.N.A.」シリーズとは関係ない(といっても邦題だけシリーズですが)、「クライモリ」や「ヒルズ・ハブ・アイズ」系のスラッシャー・ホラーです。ジャケットは「ディセント」意識してますが、勿論そちらとも関係ないです。
ニーたちが訪れた島にはかつて流刑地で、脱獄して人肉を食べて生き延びたアレクサンダー・ピアスの呪われた歴史があった。何も知らないニーナたちは調査の為に島の奥へと進むが、そこには人を喰う謎の殺人鬼がいたという内容です。
主要登場人物が4人と少ないため、後半になるまで殺人シーンもないので前半は退屈するかもしれません。ただ、主人公達が最初に訪れる不気味な街の住人の描写は中々いい雰囲気です。酒場や街全体に排他的な空気流れていて、かと思えばいきなり親し気に絡んで来たり距離感が掴めない所も妙にリアルな嫌さだしてます。
また、ネイサン・フィリップス演じるマットの親友ジャックのDQNな行動の数々も淡々とした前半のストーリーを飽きさせない要因になっていると思います。序盤から空気読めない言動してますし、自分の車使ってるから当然かもしれないけど、ニーナが運転してる時に割り込んできた車と事故りそうになったらニーナにキレて、酒場の駐車場でその車見つけたらタイヤナイフで刺して空気抜いたり、持ち込んでたクロスボウでウサギうったり、人誤射したりします。注意するニーナに詰め寄ったりもするし、友達には絶対したくないタイプ。逆にジャックが連れてきた彼女レベッカは気遣いもできていい子です。
後半、森の中で謎の殺人鬼に襲われ始めてからはそれなりに緊張感も出てきますね。雲に覆われてずっと小雨降り続くジメジメした感じがずっと続いていてそれも不快感煽ってきます。後半になると結構痛いシーンも出てきます。矢を引き抜くところはかなり痛そう。
唇喰いちぎったり、指喰いちぎったりという描写はありますが、意外と直接的なゴア描写は少ないですね。トラバサミにかかって倒れこんだらもう一つのトラバサミに首挟まれるシーンも血もあんまり出ませんし。でも、吊るされた全裸の無残な死体のグロさや、骨や血が飛び散ってる調理場などの描写が凄惨な雰囲気出してます。回想で出てくる姉の水死体も割とグロいですね。また、直接的な描写ないけど、子犬をナタで殺すシーン出てきますし、ウサギの皮はがすシーンも出てくるので動物好きは要注意。
終盤近くになるまでハッキリ姿を現さない謎の殺人鬼も、主人公達だけかと思ったら住人も殺すし結構無差別なのかな。あの人の言う事は効くみたいだけど顔似てるし兄弟なのかな?最後に露になるフリークス顔はでも、そこまでインパクトはないかな。
「SAW」のリー・ワネルが役に立たない主人公の恋人を演じてます。
ラストはかなり後味悪いのでバッドエンドが嫌いな人は注意が必要です。途中途中挟まれるニーナの姉がどんな目にあったかの回想で、「助かってしまった」ニーナがどんな目にあわされるか想像できて、ドアしまった後の悲痛な声といい胸糞感かなり高くて素晴らしい。リー・ワネルも「SAW」に続いて最後にかなり悲惨な目に遭いますね。あの身動きできなくて声も出せない状態での目の動きと表情で絶望感だしてるのは良いですね。
ゴア描写は少ないですが、かなり陰惨で胸糞悪い田舎ホラーで、バッドエンド大丈夫な人ならオススメです。