大嫌い。
絶対に一緒に居たくない男の人だ。
口から出まかせ嘘ばかり。
すぐ怒るし、すぐ怒鳴る。
女の人にも手を上げる。
なんでこんなの借りてしまったんだろう。
もう大きな声を出さないで!と耳を塞ぎ、やっと終わりに差し掛かった頃。なだろう、この切なさは。
冒頭のパントマイム。空き地で1人、踊る。
あの陽気さと儚さを、彼の中に見てしまったんだ。
目の前の幸せを掴むのに精一杯。
上手に生きられないポンコツ男。
エンドロールが終わり、ようやくあの男から逃れられた。せいせいした。ほっと一息つきながら、また再生ボタンに手を伸ばす。
絶対に一緒に居たくない男に、また会いたくなっている。どんなに怒鳴られてもいいから、彼の中の刹那に触れたくなっている。