数学者モノというだけで心底ゾクゾク前のめりになってしまう。だけど、短剣で突き刺すような韓国の情が絡んでくるのか…と怖気付いてなかなか観られなかった本作。
渋い王道なおじさんにシンプルなストーリー。何の方程式も要らず、気を張らない状態で楽しむことができた。とはいえ、映画が終わる頃にはテーブルにティッシュの山。くしゃくしゃになった中身は、悲しみではなく安堵。
美しいと呟き、ビー玉みたいな瞳で見つめた数式。身体ごと音の波にダイブして聴き入ったバッハ。美しいものを美しいと愛する心を、何の障害もなく育むことができる世の中でありますように。