爆裂BOX

デスドールの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

デスドール(2010年製作の映画)
3.9
2年前に事故死した父親の遺した機械仕掛けの箱を突然受け取るベン。父親の死以来疎遠になっていた兄マーカスも帰って来るが、箱が消えてしまう。それ以来ベンの友人が次々と無残な死を遂げていく…というストーリー。
このタイトルからは「チャイルド・プレイ」や「パペット・マスター」の様な人形系ホラーを想像しますが、実際は十九世紀に造られたブードゥーの呪いの小箱を巡る学園ホラーサスペンスです。ストーリーのメインは呪いの箱で友人を殺していく犯人は誰なのかを兄弟が探すサスペンスよりの作品になっています。
呪い殺されるシーンは手足がもげたりと結構グロいです。特に殺された後の被害者の姿は中々のグロさ。
主人公のベンと兄のマーカスが事件を通してまた仲良くなって行く兄弟愛要素も盛り込まれていますが、この兄のマーカスが普通なら主人公が持っている行動力を持っていて物語をグイグイ引っ張っていくのが面白いです。逆に主人公のベンはヘタレで最後までマーカスやヒロインに助けられてばかりで普通の映画ならヒロインポジションなのが面白いですね。そのせいでヒロインは終盤になるまでかなり影が薄いけど…
犯人の目的はオープニングを見ればすぐわかりますし、正体も意外性は無いですが、死ぬ瞬間のフラッシュバックは良かったですね。この犯人にとっても友達だったんだなと。復讐と友情の間でこの犯人も苦しんでいたのかな。そこら辺をもっと深く描いてたら良かったかも。まあ、それでも全然関係ない友達(中には恋人も)躊躇なく殺していったからサイコパスではあるんだろうけど。何の関係もなく悪いコトもしてない殺された友達達は本当に可哀想でしたね。犯人が呪いかける時に黒手袋はめるのはジャーロ意識してるのかな?会話の中で「アルジェント大学」って出てくるし。
主人公の友達もサクサク殺されていくので殆ど出番が無くキャラが薄いまま死んでいくキャラが多いのはちと残念。
写真の顔部分を小箱にセットして血と蝋を垂らすと小さい蝋人形が出て来て、それに針刺したり、手足折ったりして呪いをかける所や、対象に歯車の音が聞こえる所は良い雰囲気出てましたが、オカルト的な要素もあんまり強くなかった気がします。
ラストは「最後の最後に…」みたいなのがあると思ったらそのままハッピーエンドで終わったのは逆に意外でした。
恐さは無いですが、テンポも良く演出もしっかりしているので安心して見られる学園ミステリー・ホラーでした。「スクリーム」等が好きな人は楽しめるのではないでしょうか。