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ザ・サムライ/荒野の珍道中のHKのレビュー・感想・評価

3.5
以前から気にはなっていたものの期待はしていなかった本作ですが・・・
意外や私としてはセルジオ・コルブッチのベスト3に入ろうかという快作でした。
マカロニ後期のコメディ路線は中途半端なのも多いですが、ここまで振り切ってバカやってくれるともう笑うしかありません。
しかもジュリアーノ・ジェンマ、イーライ・ウォラック、トマス・ミリアン夢の競演。
グイド&マウリツィオ・デ・アンジェリス(別名オリバー・オニオンズ)の陽気な音楽!

序盤から列車には騎兵隊に護衛された侍がいて、これは『レッド・サン』のパロディ。
しかしその列車がインディアンに襲われサムライはあっさり死亡、アメリカ大統領に献上する盗まれた馬を取り戻すため侍の付き人のサクラ(ミリアン)が探索の旅に。
それをサポートする羽目になるのが黒ずくめの保安官(ウォラック)と、なぜかスイス人設定の怪盗(ジェンマ)。

侍が列車の中で鎧を着ているわ、中国とゴッチャで銅鑼は置いてあるわ、日本語は何言ってるのかサッパリわからないわ(ごくたまに正しい日本語もあり)、もうめちゃくちゃ。
ジェンマが棺桶を引きずって歩くコルブッチのセルフ・パロディもあり(ジャンゴ~♪じやなくて、ジェンマ~♪ですね)
ちなみに原題も『続・夕陽のガンマン』(The Good, the Bad and the Ugly)のパロディで、“Il Bianco, il giallo, il nero”、英語だと“The White, the Yellow, and the Black” 白・黄・黒でそれぞれジェンマ、ミリアン、ウォラックのこと。

トマス・ミリアンは本当はかなりのイケメンですが、サクラのメイクと怪演はまるで中国人に化けたピーター・セラーズみたいで最初から最後までミリアンに見えません。
実は最初はウォラックが日本人役の予定でやる気満々だったのに、現場で保安官役に変更されたのでギャラをアップしてもらったとか。日本人役は人気?

本作をもってウォラック出演のマカロニ・ウェスタンを制覇しました(たぶん)が、たいがいどの作品でも首に縄をかけられる役柄なのはご立派。

しかも今さら気づいたことに、ウォラックの共演相手は、
『続・夕陽のガンマン』で伝説のクリント・イーストウッドとリー・ヴァン・クリーフ。
『荒野の三悪党』でマカロニ界の人気ギャグコンビ、テレンス・ヒルとバッド・スペンサー。
『新・脱獄の用心棒』で元祖“ジャンゴ”ことフランコ・ネロ。
そして本作のジュリアーノ・ジェンマとトマス・ミリアン。
もはや全ての大物マカロニ・スターと共演した貴重な存在だと言えますね。
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