風ノ助

若者のすべての風ノ助のレビュー・感想・評価

若者のすべて(1960年製作の映画)
4.5
父親が亡くなりイタリアの貧しい南部から長男のいるミラノへ移住した兄弟と母親の悲劇を描く

ミラノで初めて雪を見て雪掻きの仕事にありつけるかもと高揚したシーン以外はずっと息が詰まるようなような重苦しさだった

家族の絆は絶対でそれ以外はどうでもいいと思ってる母親

自分のことで精一杯で家族に気を配る余裕のない長男ヴィンチェンツォ

欲望と嫉妬心に塗れた心の弱さによって破滅へと向かっていく次男のシモーネ

三男のロッコが何をされても許してしまう事でシモーネの堕落に拍車をかけてしまう
ロッコの自己犠牲は優しさというよりは壊れかけた家族の絆の修復に盲目的なだけで恋人のナディアに対してはかなり残酷な事をしている
犠牲になったナディアが本当にかわいそう

四男のチーロだけが社会に馴染み堅実な仕事につき恋人を作り正しい行いができる人だ

最後にチーロが幼い五男のルーカに語る言葉だけが正解であとはすべて間違ってたんじゃないかというくらいこの家族は最初から破滅に向かっていたように見える
風ノ助

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