生きる意味を見失い無気力になっていた映画監督のサルバドールが身心の痛みと後悔に向き合って再生するまでの物語
身体の痛みを和らげるためにヘロインに手を出してしまうサルバドールは小さな村で過ごしていた子供の頃を思い出すようになる
川で洗濯をしながら唄う若く美しい母親と隣人たち、柔らかい日差しが差し込む洞窟の家での暮らし、おいしそうな板チョコを挟んだパンなど貧しいけれど楽しかった様子が美しい映像で蘇ります
その後性への目覚め、年老いていく母親に理解してもらえない気持ちや希望を叶えてあげられなかった後悔なども描かれていきます
回想シーンへの入り方も自然で滑らかです
現在のシーンももちろん色彩豊かな衣装や美術に溢れていて人体説明のイラストもスタイリッシュでした
サルバドールが32年前に主演俳優アルベルトと不仲になったのも恋人フェデリコと別れたのも皮肉にも相手のヘロイン中毒が原因でした
そんな彼にアルベルトが繋いだ縁で再会したフェデリコが生きる力を与えてくれるのは不思議な巡り合わせです
最後にわかる仕掛けも素敵でした
今までに観たアルモドバルの中でもかなり好きな作品でした