●この映画の意義
横長になった映画の画面の使い方。遠景を広く写すことにでなく,6:4の画面の上下の部分の切れた窮屈なクローズアップ画面として,今まで同様に使うことが迫力を出すことを実証した。
ガレー船の船内,馬車レースの迫力。
働き次第でローマ市民になれたローマ共和国を描いた。
●この映画のだめな点。
偏狭なアメリカビューリタニズム。
劇中のユダヤの地に相当するのが当時の西欧であり,ローマに相当するのが当時のアメリカであることに見るものは気づかない。
キリストはユダヤ教徒であり,ローマが認めたユダヤの自治権による裁判で死刑判決を受けた。総督権限で助命しようとしたローマに責任を負わせるのは責任転嫁。
「お前はすでに死んでいる」キリスト像。
キリストはエキストラが演じ,台詞がないだけでなく,顔も写さない。ユダヤ人の一部とはいえなぜ人々はキリストに期待し,ユダヤ僧がキリストを恐れ罪を着せたのか全くわからない。