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処刑男爵のくりふのレビュー・感想・評価

処刑男爵(1972年製作の映画)
3.0
【呪いナーメテーター】

U-NEXTにて。マリオ・バーヴァ監督の“こなし仕事”だが、局所的な魅力はちびちびと溢れている。

太古に封じられた災いへの対処をキチンと相伝せず、未来で困る…とのプロットは、新海誠作品に通じている。www お話の元ネタはドラキュラ伝説でしょうが、命名からすると血の伯爵夫人、エリザベート・バートリからも引っ張ってきたような?

アメリカナイズされた子孫であるイケメン主人公が、パンナム機でウィーンの古城へとカジュアルに帰還する…早速、彼が狙うは70年代ミニスカ姿の女子大生。ゴシックホラーなど忘れたような、ナウなイントロ。呪いなんて無縁のようだが今見ると、パンナム機は既に亡き…てトコに死の香りが。www

杜撰なセキュリティを軽く突破し怪異を召喚してしまうのは、この軽薄な導入だからこそ見合うものかと。で、主人公はどうでもいいが、エルケ・ソマーのスクリーム・クイーンぶりは当時の定番だが、サディスティックにそそられる。ちゃんとメイルゲイズに服、破られるしね。…実は三十路だけどね。

怪異描写は見事にトホホだが、さすが腐ってもバーヴァ、撮影が見事で眼は飽きない。本人が狂喜したという、クロイツェンシュタイン城のロケが実に効いており、一瞬『LOTR』の1場面か?と思わせる、幻想的なショットも登場する。特に昏い映像での、光と影と色彩のケミストリーは今見ても、褪せない。

お話は、呪いのシステムは面白いのだから、そこを要に膨らませれば、ヒトコワなホラーとして立ったのに…。

あと、ジョセフ・コットンは無駄遣いだよね。

あ、でも興行的には当たったらしい。それで次に、同じエルケ・ソマーで自由に作ったのが『リサと悪魔』だそうだ。

今回知ったが本作、“地獄の声”という都市伝説にも協力していたんだね!www キリスト教団体が、布教のために流したらしきハタ迷惑な噂の音源として、本作のSE?が使われていたとか。本物の地獄の声だ!とか吹いたのでしょうが、どっかの団体教祖の空中浮遊写真くらい、浅はかですなぁ。

<2024.9.26記>
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