このレビューはネタバレを含みます
SFの仮面をつけた風刺映画。
当時の時代背景(ソ連時代)を考えると、厳しい検閲をすり抜けることができたのはこのやや抽象的なSF描写に理由がありそう。
ボダンひとつで異星に飛んでしまうという突拍子のない展開ながらも、特に置いてけぼりにならないのは、こうしたらこうなるよと作中でしっかり説明してくれているからだろう。
なのに、決して説明的になっていないのがすごい。
そして、プリュクに降り立った二人の反応は、まさに初めて異文化に触れたときそのもの。
言語が違う。文化が違う。習慣が違う。物の価値が違う。
じゃあ、異文化についての話なのか……と思いきや、徐々に階級社会を批判し始める。
「彼らに判断させたらきっと過ちを犯す」からの「まるで神様気取り」には、シビれましたね。
まあ、唯一ラストの展開だけはちょっとわかりづらい。地球に戻るのとともに時間も巻き戻り(つまり過去に戻った?)、それと同時に記憶もリセットされたのか?
でも、作中では過去に戻るシステムは紹介されていたし利用もしていたけど、そのときは記憶がリセットされた感じはなかったし?と。。
自然とプリュクの挨拶はしていたのに、お互い気付かなかったというのは、体に染み付いていたからなのか、なんなのか。
そこだけちょい謎でした。
とりあえず、社会風刺が痛烈でした。
作品全体を通して感じられる「作り物感」もとても良かった。
クー!!!