英題通り「もしも王様だったら？」をテーマに物語は進む。楽しい！😄。

ルイ11世の時代。
貧富の差は激しく、民間人は荒れる一方。
主人公は詩人ヴィヨン。
王家の食料を盗み、皆に振る舞う。

そんな折、裏切り者が側近にいると気づいたルイ11世がお忍びである酒場に。
そこにいたヴィヨンは王がいることを知らず、王を罵倒し、王の側近を殺めてしまう。

ルイ11世にとって良い事と悪い事の両方をしでかしたヴィヨンに対して、王は国の救済を1週間で行うよう、彼にそれなりの位をつけて警備の責任者になるよう命じた。


軸であるストーリーが面白いので最後まで楽しく拝見！
ルイ11世演じたベイジルラスボーンが流石の存在感。作品通して、少しコメディ要素というかライトな部分もあるので、凄みを出すべきシーンでの迫力はどうしても薄くはなったか。

ヒロインはフランシスディーだが、酒場の女を演じたエレンドリューのほうが印象的だった😢。

コールマンは余裕で主人公ヴィヨンを演じていて、それが緊張感を薄くする。
囚人なのにうろちょろ歩き回ったり😂、ツッコミどころはあるのだが、、、なかなか面白かった。自分、どっちやねん！


スタージェス脚本。
なんか納得🤔😆。

何度も映画化されている舞台劇。
脚色はプレストン・スタージェス。
基本の流れは舞台劇通りのようで、スタージェスのオリジナル性は低い。
けれど彼のスクリューボール・コメディに共通する特徴が、幾つか見られる。
彼のコメディではよく、気まぐれな富豪が物語の中心にいる。
おかしな状況を生み出すには、気まぐれな金持ちというのが非常に便利な存在なのだろう。
そうしたスタージェス喜劇の元ネタとも思える内容だ。
この原作が彼のその後の作劇に、どの程度影響を与えたか不明だが大変興味深い。

時代劇なので、気まぐれな金持ちの代わりに気まぐれな王様が出てくる。
気まぐれな王様の強引な思いつきにより、おかしな喜劇的展開になる。

王をバカにして、俺ならもっと良い政治ができると豪語する詩人が、一週間で成果を上げてみろと王に役職を与えられる。
顔を隠した状態で、仲間の盗賊たちを大岡裁きしたり、色々と面白いシーンが続く。
詩人に反発し、籠城して全然戦おうとしない王侯貴族や兵士。
そこで食料がなくなり腹が減れば、戦いに行かざるを得ないだろうというスタージェス的な奇策が展開される。

原作がある話にも関わらず、気まぐれな王様がストーリーをリードしたり、煮詰まった状態の打開で奇策を弄する辺りが後のスタージェスの作風を彷彿とさせる。

主人公は王の食料を盗んで貧民にバラまき、美人を節操なく口説く楽しく善良だが無責任な男。
それが政治に参加することで、恋と人民に対して責任感を持つ。真面目な男になっていくのだ。
詩人を慕う女性に起こる悲劇も、彼を真人間に変えた要因だろう。
時代劇と相まって、浮かれているだけではない見応えのある話に収まっている。

これは中々良かったな…
絵巻物に出てくる悪党みたいなベイジル・ラスボーン好っきゃわー