チャップリンの「モダン・タイムス」(1936年)に影響を与えたと言われているルネ・クレール1931年の社会風刺コメディ。資本家に搾取され、機械に支配される労働者、非人間的で人間疎外の社会をコミカルに描いています。遡りフリッツ・ラングの「メトロポリス」(1927年)から影響を受けていると感じました。
脱獄したルイとルイを逃がしたエミールは対照的な性格なのに、再会すると友情が甦り、ほんわかしたエミールの暢気さが成功者のルイに移っていきます。ルイを自由にするのはエミールでした。エミールもしっかり者の兄貴分のルイといると安心。楽しそうな二人、でも脱獄犯のルイはずっとお尋ね者。
ドタバタのコメディ部分がサイレントで、会話部分はトーキーなのがおもしろい。
すべてが早回しの展開で、これもまたオートメーション化への風刺のよう。
軍靴ともとらえられる足音が最後近くに聞こえました。
何から逃げているかはキナ臭く、非人間的な時代からでしょう。
最後の少し手前があまりに展開が早くつめ込んだ部分があり、よくわからなかったので0.1引きました。
工業化時代の合理性・機能性を象徴しているモダニズム建築が随所に映っていて、インテリア、什器も、よかった。建築に興味ある方は背景も楽しいですよ。
「メトロポリス」同様、女性の衣裳がアールデコで、モダニズム建築によく似合う。
当時を再現したのではなく、その時代をそのまま反映しているので、時代の空気を知る上で貴重だと思いました。