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ヘルブレイン/血塗られた頭脳のnetfilmsのレビュー・感想・評価

3.7
 十字架のネックレスをした少女が病室のベッドに眠っている。そこへどこからともなく「ローラ、ローラ」と声が聞こえて来る。白昼夢のように真っ白な病室の壁、ローラ(サマンサ・スカリー)はリッキー(ビル・モーズリイ)にどこまでも追いかけられていた。次々に開ける病室のドア、ローラは右腕を切られ、絶叫のうちに我に返る。パート2で射殺されたはずだったリッキー・コールドウェルはニューベリー博士(リチャード・ベイマー)の脳再生手術により一命を取り留めたものの、6年間の昏睡状態にあった。「命の重さは犯罪者も同じ」という医療哲学を持つ博士は、盲目の美少女ローラのテレパシーをもって彼の蘇生を試みようとしていた。季節はクリスマス、農場を営むお婆ちゃん(エリザベス・ホフマン)の家でクリスマス・パーティをするために、兄クリス(エリック・ダレー)と共にパイルまで向かう約束をしていた。兄の恋人で超能力者であるジェリー(ローラ・ヘリング)との出会いの場面、兄の恋人に嫉妬したローラは彼女に辛く当たる。十数年前、クリスとローラの兄妹の両親は飛行機事故で帰らぬ人となった。今は兄とお婆ちゃんだけが頼れる肉親のローラは、3人でパイルへ向かう。一方その頃、病院ではサンタの歓待を受けたリッキーが突然目覚め、ローラのテレパシーを受信し彼女を追う。

 サンタを殺人鬼に仕立て、全米中のPTAを敵に回した『悪魔のサンタクロース』シリーズ第三弾。サンタの紛争をした強盗に両親を殺されたトラウマから、自身もサンタの格好で同様の犯罪に手を染めるようになったビリーの凶行から3年、ビリーの実弟であるリッキーの凶行を描いた前作では孤児院の院長を殺めたリッキーだったが、今作では6年間の昏睡状態にある。だがサンタの姿に反応し、昏睡状態から目覚めたリッキーは、ニューベリー博士に改造されたヘッドギアをつけて、次々に罪のない人々を殺して行く。田舎町の事件の操作に当たるコノリー警部補(ロバート・カルプ)はニューベリー博士と共に、3人が既に向かったパイルへ遅れて向かう。寄る辺無き盲目の美少女が辿り着いたお婆ちゃんの家には、既に彼女の気配はなく、自身の写真が収めれらたフォト・スタンドが消えて無くなっている。レオナード・マンやエリザベス・ホフマンらを次々に殺して行くリッキーは確かにスラッシャー映画の殺人鬼に違いないのだが、先回りしたはずのお婆ちゃんの家ではどういうわけかなかなか姿を現さない 笑。だがラスト・ミニッツ・レスキューをするはずだった2人の背広の男たちの揃わない足並みに殺人鬼は助けられる。アメリカン・ニュー・シネマ傑作中の傑作『断絶』や『コック・ファイター』の監督として知られるモンテ・ヘルマンの演出は確かにチープだが、どうしても嫌いになれないクリスマス映画の珍品中の珍品である。

#メリークリスマス #クリスマス映画
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