『ウィッカーマン』（73）のロビン・ハーディ13年ぶりの2作目だが、ハーディは『ウィッカーマン』の監督に相応しくなかった、との声がある。柳下毅一郎さんによればハーディは、スウィンギンロンドンのファッショナブルな業界人とでも言うべきTV屋なのだ、ということがこれを観ればよく分かる。『ウィッカーマン』でハーディが担ったのは、喜劇的ド変態パートだということも。主人公の女教師がダブリンに赴任した頃、ド変態電話を受けていた女が殺害される。そんなことは知らない女教師は引っ越し先の男テイモシー・ボトムズと不倫の関係に陥るが、密会中にボトムズは消える。どこ行ったん？探すと、キッチンにいた。そこで彼はド変態電話を掛けており、あまりの内容に驚いて女教師はスカートを捲り、パンツを突き出して威嚇するのだ。なんだこれ？

『ウィッカーマン』は誰でも見ている映画だが、その監督の13年ぶりの二作目は映画好きでも、なかなか見ていないと思う。詳しくはHK先輩が下に書いているので読んでほしいけど、異様というか異常としか言いようがない作品で、こんなのヘタなだけだろ！と切り捨てないで、その歪さを楽しめる人なら最高な一本だと思う。
ジャーロ風な殺人事件からはじまったかと思うと、気持ちが悪い男性(みな変態)が新任の女性教師に次々と心奪われていく奇妙なラブロマンスが平然と描かれていく。殺人鬼が人を殺し続けていく日常のなか女性教師はデートをしたり変質者からの電話に怯えたり…ジャンルが不安定で、この映画がどこに着地するのは全く分からない、殺人鬼の正体は？変質者からの電話とは？女性教師は最愛のパートナーを見つけることが出きるのか？コインは下着のどこに隠したの？実家の酒飲み叔父さんの財産は誰のものに？その全てのハテナがどうなるかは最後まで見るしかないわけだが、終盤のゾッとする人間の不気味さは『ウィッカーマン』好きにも満足してもらえるのではないかと、そしてラストのラストにもう一捻りあるのも、ここにきてまだやるのかと呆れながらもスタンディングオベーション。これだけ変な映画がビデオでひっそり出ていたのが素晴らしいね、VHS文化万歳！義足！！

ロビンハーディがイカれてることはわかった
『ウィッカーマン』は脚本別なのが良い塩梅に働いてる