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怒りの日の2秒前のレビュー・感想・評価

怒りの日(1943年製作の映画)
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冒頭、魔女狩りから逃げる老女が屋外に出ると自然とカメラも横移動でついてくるので驚く。
老女は主人公のアンネに屋根裏に匿ってもらうのだが、捜索隊が血の跡を追い屋根裏に登る。そしてカメラは一階を写し、老女の悲鳴が響き渡る。
また、拷問のシーンでは牧師たちを捉えたショットに老女の悲鳴が被さり、悲鳴が止むとカメラがゆっくり180度回転し上半身をはだけた横たわる老女を捉える。「苦痛を伴う拷問の後、自由意志により告白した」という矛盾した文言が恐ろしい。
火刑のシーンでは、磔にされた老女はこれまたゆっくりと土台を立てるにつれ画面外へ消えていく。

アンネが自身の魔女の力を自覚したシーンでは、まず長テーブルの端の燭台の火を消し、テーブルに沿って画面左へ歩を進める(音楽も不気味さに拍車をかける)。そしてテーブルのもう片方の端に到達したところで、扉を開けて入ってきた義理の息子と不貞のキスをする。とんでもないものを観ている。息子とボートに乗るシーンの水面もいい。
そして夫にお前は死ぬと告げると、本当に死んでしまう。白々しく悲鳴を一度あげるが、決して駆け寄ろうとはしない。
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