浅野公喜

処刑!血のしたたりの浅野公喜のレビュー・感想・評価

処刑!血のしたたり(1988年製作の映画)
3.9
Youtubeの映画チャンネルMediatime Networkでも鑑賞可能な(←ただしこのチャンネルのバージョンについては後述)、夜のスーパーで従業員達が何者かに次々と殺される80sスラッシャー。監督のスコット・スピーゲル(「ホステル」シリーズのプロデューサーでもある)が「死霊のはらわた2」の脚本も担当していた関係かサム・ライミ監督やその弟のテッド・ライミ、ブルース・キャンベルもチョイ役で出演。

序盤ではストーカーの元彼に悩まされる主人公はじめ従業員達の状況や性格が良く分かるようになっており、殺人が始まるのは中盤に入ってからですが針やフックで目や首を刺す、昇降機で顔が潰され糸のこぎりで顔が半分に割かれたりとスーパーだけに商品同様殺人もバラエティに富んでおり、上半身と下半身が分かれ「半額」と書かれた値札が貼られた死体(笑)等を主人公が見て阿鼻叫喚する様は「13金」強化版といった趣で画面に映る従業員達が気付いてない間に影が近付いたり包丁がさっと消えたり瓶の中に目玉が入ってたりとスリルをもたらす要素も随所に。

犯人の正体や動機はいまいちピンと来ないのですが主人公が居る電話ボックスを倒したりとパワフルで生命力の高さが反映されたエンディングはバッド寄りながら個人的には痛快でした。また、瓶越しに顔を映したりほうきで掃くことで暗転するカメラアングルや、包丁が振り下ろされるタイミングでぱっと果物を切る所に変わったり、従業員が動かしてる包丁を延々と映していると思いきやいつの間に殺人鬼のそれに変わってたりと編集も凝っており集中力を持続させてくれます。

余談ですが主人公演じたアリシア・シルバーストーンに少し似てるエリザベス・コックスは「処刑ライダー」の冒頭で車を奪われる男の彼女役で、もう一人居る女性従業員役のレネ・エステヴェスはその「処刑ライダー」主演のチャーリー・シーンの妹みたいです。

残念なことに上記チャンネルのバージョンは見所の1つである殺人シーン等が大幅にカットされており、殺人だけをフィーチャーした動画も探す必要有りですが、80年代を締めくくるのに相応しい充実作と言えるスラッシャー。
浅野公喜

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