瀬口航平

どん底の瀬口航平のネタバレレビュー・内容・結末

どん底(1952年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

当時のモスクワ芸術座の貴重な映像。まだスタニスラフスキーが死んでから14年しか経ってない。

あまり面白さは正直期待してなかったんだけど、割と面白かった。なかなか観てるのきついんだけど。
あと、途中幕間でお話に対する解説入るの良い。このどん底という話は、文字通りどん底の環境にいる人たちの話なんだけど、社会的にどん底で精神的にも貧しい人たちと、社会的にはある程度裕福でも精神的には貧しい人たちと、社会的にどん底だけど精神的には美しい人と、いろんな人いる。ただ、社会的にも精神的にも裕福な人は一人も出てこない。彼らも会ったことないんだろう。
そしてそんな人たちの前に、社会的にはどん底だけど精神的には美しいルカが登場するのがまず大きな事件。その次がアンナの死亡、これが2つ目の大きな事件なんだと説明が入る。

彼らなりの人生訓みたいなのはとても面白かった。
このどん底って作品は名作と呼ばれてるんだけど、正直あまり今の日本で上演されて人気を博すことはなさそうな気もする。。。彼らの心情に共感することはあっても、なんというか、彼らの生活があまりにも酷いものだからあまり共感したいと思えないというか。。。
すごく表面的には恵まれた人が、恵まれない人たちと同じことを思ってるとかそういうのはウケる気するんだけど、自分の中の貧しさと本当に正面切って向き合える勇気や強さがないと、この作品の登場人物には観客として寄り添いたいと思えない。
国民性として、なんとなくほかの文学作品見てるとロシアの人たちのほうがそういうのと強く向き合える精神性ありそうだから、ロシア人にはいいのかな。
日本人としては、人物を遠いところに置いちゃうので、そこまで響かないってことになりそう。
実際日本でそんなに上演されてないかも。昔はやってそうだけど、現代の日本では。。。
瀬口航平

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