安堵霊タラコフスキー

天才マックスの世界の安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

天才マックスの世界(1998年製作の映画)
4.7
どうでもいいけど、ずっとこの作品が長編デビュー作と勘違いしていた。

それはさておき今年日本を舞台にした新作が公開されるということで、今まで見逃していたこの作品をようやく見たけど、まだ手持ちの移動カメラを使ったりして初々しさも残っていたもののこの頃から小津がアメリカで軽妙なコメディを撮ったかのような作風は健在で、カットの移行も実に小気味良くて、その才気煥発ぶりが気持ち良かった。

内容にしても無駄に行動力のあるマックスが起こすトラブルはジェイソン・シュワルツマンらの演技もあってどれも可笑しく、痴情の縺れすらウディ・アレン作品以上に下らなく描いて笑えるのは流石としか言い様が無い。

楽曲もThe KinksやThe Who、The Rolling Stonesと次作同様古き良きロックを愛しているのがよくわかる選曲で、終盤の劇中劇も無駄にクオリティが高いし、ラストも爽やかだしで、ウェス・アンダーソンという男とその才能に改めて惚れ直すこととなった。