ちろる

キット・キトリッジ アメリカン・ガール・ミステリーのちろるのレビュー・感想・評価

3.9
子供から見たアメリカの大恐慌

世界恐慌でアメリカ中の大人たちが戦々恐々としている最中、キットは新聞記者になる夢を胸に今日もネタ探しする。

ツリーハウスの女子会で、キャッキャッと話してた時間は過ぎて、
他人事だと思っていた大人たちの事情がいつのまにかすぐ目の前にきている事に気付く。
そんなの知りたくもなかったのに・・・

施す側が簡単に施される側になる不安定な情勢の中でも皆自分たちができる事をやる。
大人には思いつかないけど、子どもには当たり前。

家を追われたクラスメイトの母息子
ダンスの先生
変わりものの移動図書館のおばさん
マジシャンのおじさん
下宿人たちの日常、ボーボーたちの世界

突然キットの前に現れたカウンティがちっちゃくて可愛い
お互いを信頼し合って、互いを守りながら生きているホーボーの森の暮らしを見てキットは強く伝えたいと思う。

厳しい時代、人は誰かを責めたがる
その標的になるのが弱き者たち。

ウィルとカウンティが教えてくれた世界は思ったよりもとても深かった。
失ったものがあったけど、それ以上に得たものがあったアメリカの大恐慌時代に何を見て、その中でも沢山の笑顔を見つけられた彼女たちは何より強い。
とても残酷な話の中にいくつもの幸せが隠されていて、とてもアメリカらしい作品でありました。
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