似太郎

13回の新月のある年にの似太郎のレビュー・感想・評価

13回の新月のある年に(1978年製作の映画)
5.0
ここまで赤裸々なファスビンダー映画というのもそう無いよ!😱⚡️

大ヒットした名作『マリア・ブラウンの結婚』のあと再びインディーズ路線に回帰した、ゲイの主人公を含めて全員堕落した人間ばかり出てくるメロドラマ。

とにかく観てて痛い!救われない!気分が滅入る!…ここまで自分の恥部を曝け出せる映画作家というのも稀だと思う。完全に監督のプライベート・フィルムの領域だ。

そう、よく考えたら本作は観客の理解を拒んだモロ自主制作映画なのだ。はっきり言って他人に見せる代物ではない。大いなる自己満足であり自慰。しかし、やはりファスビンダーだけあってシナリオの完成度の高さ故に、見入っちゃうんだよなぁ。吐き気を堪えて…。

ラストはとことん皮肉でダークなオチ。仲間にも世間に裏切られ、朽ち果てる薄倖なゲイの顛末記。同じくゲイの映画作家、ルキノ・ヴィスコンティやデレク・ジャーマンには到底無理な表現である。正しくファスビンダー様様、な映画。🍜
似太郎

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