13回の新月のある年にの作品情報・感想・評価・動画配信

「13回の新月のある年に」に投稿された感想・評価

oe

oeの感想・評価

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まともな愛情と教育を受けられなかった人にとって人生はあまりにも難しすぎる
◎ フリーダの魂という部屋でSuicideのFrankie Teardropがきた!
再びソラリス
カフカの城
アマルコルドの音楽
LGBTQという言葉を超えた彼岸を目指した問題提起
shaw

shawの感想・評価

4.2
今回もまたインパクトの強い映画だった。

冒頭から主人公がボコられ、次は牛の屠殺場面が(ガチなやつ)延々と流される。モノローグを多用した構成は不思議なテンポを生み出す。

美術が今回も素晴らしい。こんな場所どこにあるんだよ!って場所が多かった。この映画に出たトイレは多分映画のトイレのシーンで一番好きかも笑。

ストーリーはファスビンダーのバックを知らないと分かりにくいので、ある意味『第三世代』の方がより明快。

自分はファスビンダーの交際関係とかわりと知った上で見たから、主人公にファスビンダー以外も何人か重なって見えた。

これが今作られたアメリカ映画なら、絶対オスカーものだし、主演のフォルカー・シュペングラーの演技は最近見た映画の中で最も鬼気迫る部類に入る。
望まずして女性へと性転換した主人公エルヴィラの物語

ファスビンダーの作品は初めて見たが、かなり衝撃的だった。映像の美しさとは裏腹に牛の屠殺シーンや首吊り自殺をするシーン等、残酷な面もあったが、その両方が見事にマッチして美しくも不思議な映像になっていた。

監督自身も同性愛者であることを公言していて、1978年とまだ性的マイノリティに理解のない時代の作品なので当時のLGBTQへの差別がリアルにそして色濃く描かれていた。

″孤独″とはまさにこの事を言うのだろう。見ていて辛くてラストも救われない終わり方だった。かなり衝撃的な内容だったが、メッセージ性のあるセリフや映像美など、様々な意味で心に残る作品でした。
愛を求めて性転換手術をし、アイデンティティを喪失した者の最後の5日間。
ファスビンダー自身も元恋人を自死によって失っている。

痛みを読み上げていくような語り。
性の曖昧さ。不安定な生活。孤独。社会は醜い搾取と地獄ばかり。好奇心で生きてみるものの、脳裏には常に死にたさがチラつく。

どうしようもなく悲痛だが強烈に心に残る。
vesper

vesperの感想・評価

3.7
タイトルの美しさとあらすじからずっと観たかったけど配信もソフトもなくって感じだったのですがいつの間にかU-NEXTで配信されていたので早速入会。

この時代のLGBTの生き辛さ。主人公に試練しかない。
m

mの感想・評価

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どこにもいけなくなった感情と人生のどん底に陥った主人公が哀れだけど滑稽で、よくわからなかった。

首吊り自殺をする男の詩的でプラグマティックな言葉が最終的に人生に好奇心と希望を持ちながらも自己を破壊することになる主人公の行先を暗示している。

私の体は私の意思/意思による否定は意志の強い肯定を示す現象だ/否定の本質とは生の苦悩でなく享楽を退けることだ/自殺者は生を求めつつ、生の条件に不服なのだ/彼は生の意思を決して放棄することなく現象としての自己を破壊する  首吊り男の言葉

このレビューはネタバレを含みます

どっちつかずの性的アイデンティティも壊れ、家庭での居所が既にないこと、アントンとのつながりも既に断ち切れていることを再確認し、自死を遂げる。その間、初めて会う人とも交流するが、会っては別れる。修道院では、進んで虐待された子供時代を明かされる。

この物語は誰のもとにも起こりうるのか、という問い。ファスビンダーは現実で起こった別れた伴侶の自殺を機にこの映画を制作した。作中、監督へのインタビュー映像が流れる。「映画を多作できるのは、精神障害だからだ」

さまざまなシーンが、彼女の特異な人生を表現する。特に、この映画に年齢制限がかけられることになった屠殺シーン、本当に良い関係を築ける友人と交流するのは高々数年と語る男、『マリア・ブラウンの結婚』のラジオと登場人物の会話の音声の二重構造を彷彿とさせるラストシーン。

ファスビンダー最大の問題作。監督特有の支配的な従属関係は本作にも見られるが、私生活におけるマイアンとの関係における自身とは逆の、被支配側が描かれる。また、本作が自主制作であり、かつファスビンダーが撮影監督も務めた理由は、異常な人間関係や有様が表現されているから、ともとれるが、監督が他の作品よりもずっと自身を反映した作品だからと考えると、一層興味深い。
初ファスビンダー。悲惨。13回の新月のある年に主人公が陥るそれは能動的な厭世でも自己憐憫でもなく、シンプルにその逆方向へと進む術を知らなかった故のアクシデントだったと思いたい。まあどう解釈したところで物語のなかで起きてしまった事象そのものは覆せないわけであって。成る程、この虚しさにハーモニー・コリンが傾倒しているのも分かる。もし本作が今年公開される新作だとしたらLGBTQ映画として宣伝されるのかな。ファスビンダーは時代を先取りしていたのだろうけど、当時の彼はそんなこと気にせず、劇中のテレビに登場した彼本人の語りでいうところの「精神障害」的に黙々と映画を産んでいたのだと思う、多分。他の作品も随時見る。
OASIS

OASISの感想・評価

3.7

このレビューはネタバレを含みます

エルヴィラはその外見から想像もできない寂しさを隠した強い女性、いや男性だ間違いなく。
強く生きようとしても世間はそうさせてくれないジレンマと孤独感。
しんどくて辛い映画だ。

彼はいつから死のうと思っていたのだろうか?
男娼に傷つけられたときか?
ボーイフレンドに馬鹿にされたとき?
ビルの地下で男性の自殺を目撃したときなのか?
そのどれもがきっかけであり、実は大したことではないかもしれない。
彼、彼女の気持ちに寄り添おうにも簡単にそうはさせてもらえない心の距離、バリアを感じさせる映画だった。
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