余命半年と診断された男が20日後に火山に身を投じる使命を背負う。トム・ハンクス主演、メグ・ライアンがヒロイン1人3役をこなすロマコメ映画。「死を意識して有限な人生を有意義に」みたいなテーマは普遍的だが、戯曲作家である監督の織り成す舞台演劇的な仕掛け・問答と、スピルバーグ総指揮、麾下のアンブリン・エンターテインメントが低予算なりに結構頑張って作り込んだドタバタ特撮ファンタジーの相性はよろしくなかったようだ。冒頭のディストピア的なクソ職場・上司・仕事の描写に、埋もれていた男が己の死期を知って豹変するくだりはまずまず爽快だが、そこまで開き直ってパーッとやるわけでもなく淡白でハジケ切れないコメディ、意味不明なヒロイン1人3役、グダグダした説教臭い会話劇と、トム・ハンクス主演作なのに日本公開ビデオスルーも納得の、何とも評価の難しい一品。