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バーニング・ムーンのドントのレビュー・感想・評価

バーニング・ムーン(1992年製作の映画)
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 1992年。元気が出た。無職のトラッシュ野郎が父親にボコられて妹の面倒を見ることに。ヤクをブチギメて燃える月の幻覚を見たあとで妹の寝室へ行き「眠れねぇんならぁ~、俺がおはなしをしてあげようねぇ~」と語りはじめたふたつの話は、狂気と猟奇の大殺界!
 この時期に勃興したというドイツのスプラッタ映画ムーブメント「ジャーマン・ゴア」の代表的1本。ビデオ撮影、グロ以外は気の抜けた演出、やる気のない演技など、厚みを求めて観るとスーン……と侘しくなってしまうだろうけど俺は『ドイツチェーンソー 大量虐殺 』(90年)を観ていてこういう感触は理解っていたので割り切って観ることができた。なので、そらへんは割り切って下さい。
 とは言え『ドイツチェーンソー』ではグロなきシーンでもまずイカしたものをやってやろうとの気迫があったもののこちらではそういうのはなく、無職青年の筋金入りの不良ぶりが楽しいものの、コトが起きる(※暴力やグロ)まではかなり退屈でウゥンと唸る。
 しかしコトが起きる(※暴力やグロ)と途端にヨッシャアとばかりに撮影とか編集とかのギアが上がってすごいことになる。具体的に言うと人体が貫かれたり抜かれたり割かれたり飛び散ったりしてすごいことになる。総決算となる2話目の邪神地獄絵図などはかなりフェス感があり、出てくる皆さんがみんな大変なことになっていて「わぁ~大変だ~」とアガってしまった。
 だいたいがぬるま湯みたいなドラマパートと本気出してるバイオレンスの温度差によって「整う」ような心持ちになる。92年当時のドイツの不安みたいなのもなんとなく感じられる(気のせいかもしれない)。しかし「バーニング・ムーン」ってタイトルで本当に月が燃えるとは思わなかった。
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