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悪い子バビー/アブノーマルのicのレビュー・感想・評価

3.9
トラウマ級の映像をリズム良く見せられた後に、音楽が希望を与えてくれる。その繰り返し。感情を逆撫でられ、まるでジェットコースターのような作品だった。

箱入り娘ならぬ箱入り息子⁈外の世界は危険だから家にいないとダメだと主人公は縛られるが、扉の向こうへ好奇心は増すばかり。息しなければ外に出られるのか、てことは、ラップでぐるぐるにしても大丈夫なのか。そうか、そういう考えに至るのか…全く思考回路が読めないバビー。

生まれ落ちた環境が人を左右するのは言うまでもない。善悪は誰が決めるのか。“イエス様”は、なにをしたら怒るかは、家庭ごとに違うわけだ。都合の良い神という存在に縋って、ものごとを判断しているうちに、争いは起きている。果たしてそれは救われてると言えるのだろうか。

劇中には、十字架にかけられたキリストが何度もでてくるし、クリスチャンが数多く登場する。セックスや死の話をしてるだけね"神さま"がいるのは当たり前。
そういえば、バビーのパパも牧師だった。たしか仕事のことを「説教するバイト」と冒頭で乱暴に言い放っていた気がする。神聖な職に就いているとは思えないキャラクター。こんな人が人々を導くのか、と疑う。その一方で、バビーがのちに出会う牧師?(教会でオルガンを弾いていた)は、無神論者だった。彼に「自分で責任を取れ」と教えてくれる。罰を与えてみろと。
それらの言葉は、バビーの中に詰め込まれていき、音楽となって放たれる。そうか、これがロックか。(途中、ジョイ・ディヴィジョンを思い出した)牧師の格好をしたバビーが、今まで覚えてきた暴言を音に乗せ、人々を盛り上げる。ほら、神様よりも音楽の方がみんなを救うのさと言わんばかり。


主人公は恵まれているのかいないのか、出会い運は悪くなさそう。
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