すべりのっと

悪い子バビー/アブノーマルのすべりのっとのレビュー・感想・評価

4.5
「部屋の外は空気が汚染されていて出れば死んでしまう」
35年間もの間母親に狭い部屋に閉じ込められてきたバビーは父を名乗る男が現れたことで部屋の外に出ることに。
何も学ばせてもらえず、言葉は人の真似だけ倫理観など当然ない男が世界に放たれ、様々な人と音楽にもまれる姿は一切の予想を許さず、ハラハラしながらも映画としてはこれが楽しい。

バビーに慈善家気取りで優しくしても面倒だとポイする奴等もいたりするなか、
バンドマン達の優しさにほろりときたり、
オルガンおじさんのセカイ系オナニー演説にちょっと苦笑いしたり。バビーちゃんにメシでも食わせてあげなさいよ。ピザピザ!

少し説明台詞があり、それがこの映画の本質を示すところ。
人は「教え」に助けられながらも縛られていて宗教的規範に盲目的になるあまり人を簡単に蔑み憎み殺し合う。
世界の猛毒とガスマスクはこの暗喩だと思う。
ガスマスクは見えづらいからね、、、
人生史上最も猫に優しくない映画。




バビーちゃんが色々やってはならないことをしているのに報われるのは、当たり前に信じ込まれているカルマ理論からの解放という意味でも味わい深い。